ゴールドマン・サックスがビットコインETF保有を開示──重要性が低い理由は?

- ゴールドマン・サックスのビットコインETF保有は、同行自身のものではなく顧客を代表している可能性が高い。
- 13F報告書ではまた、ETFに対する大規模なプット保有も明らかになった。
- ゴールドマン・サックスの顧客は、価格の方向性に賭けるのではなく、ベーシス取引を行っている可能性が高い。
ビットコイン(BTC)のX(旧Twitter)コミュニティは、ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)の13F報告書でいくつかの現物ビットコインETF(上場投資信託)について持ち分増加が開示されたことで盛り上がっているが、この事実は実はそれほど重要ではない。
まず第一に、ETF保有は必ずしもゴールドマン・サックスのトレード部門がビットコインの価格に賭けていることを意味するわけではない。これらの持ち分は、ほぼ確実に同行の資産運用部門であるゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント(Goldman Sachs Asset Management)が顧客のために保有しているものだ。
第二に、2024年12月31日時点の保有状況を示すこの報告書では、フィデリティ・ビットコインETF(FBTC)に2億8800万ドル(約432億円、1ドル150円換算)、ブラックロック(BlackRock)のビットコインETF(IBIT)に13億ドルの持ち分を保有していることが示されている。一方で、名目価値6億ドル以上のプットオプションのポジション(および小規模なコールオプションのポジション)も保有している。
プットオプションは、保有者に特定の価格で資産を売る権利を与えるが、義務は課さない。これは価格下落に対する保護とみなすことができ、弱気な姿勢を表している。
CoinDeskのシニアアナリスト、ジェームズ・ヴァン・ストラテン(James Van Straten)氏は、「ゴールドマン・サックスのこのポジションは、他の多くの銀行やヘッジファンドと同様に、純ロングポジションではない」と指摘。「これは、ベーシス取引、別名キャッシュ・アンド・キャリー取引を反映した戦略であり、ビットコイン価格の変動に対する潜在的な利益とリスクのバランスを取っている。ETFには最近オプションが承認されたため、これはおそらくディレクショナル(方向性のある)ヘッジだろう」と述べた。
第4四半期の13F開示期限が迫る中、JPモルガン(JPMorgan)やモルガン・スタンレー(Morgan Stanley)などの大手資産運用会社からも同様の報告書が提出されることは確実であり、誤解を招くようなニュースの見出しも同様に出てくるだろう。
|翻訳・編集:林理南
|画像:Remi Turcotte/Unsplash
|原文:Goldman Sachs Disclosed Ownership of Bitcoin ETFs. Here’s Why It Doesn’t Mean Much