コインベースの第4四半期決算、2021年以来最高の取引高を報告する見通し
  • コインベースは2月13日の取引終了後に、2024年第4四半期の収益が18億ドルに達したと報告する見通しだ。
  • ウォール街のアナリストは、コインベースが2021年第4四半期以来の最高取引高を記録したと推定している。
  • 2025年については、アナリストは取引高が落ち着くと見ているが、コインベースにとっては、収益源の多様化を図る方法を探し続ける年として「非常に重要な年」になると予想している。

暗号資産(仮想通貨)にとって第4四半期は好調なものであり、ウォール街のアナリストらは、アメリカの大手取引所であるコインベース(Coinbase)が直近3カ月間において収益が大幅に増加したと予想している。

FactSetによると、第4四半期の収益は18億ドル(約2790億円、1ドル=155円換算)と予想されており、第3四半期の12億6000万ドル(約1953億円)から増加する見込みだ。1株当たり利益も0.41ドルから1.99ドルに増加したと推定されている。

さらに重要なのは、大統領選挙でのドナルド・トランプ(Donald Trump)氏の勝利を受けて暗号資産が大幅に上昇したため、アナリストらは、年内最後の3か月間の取引高は第3四半期の1853億ドル(約28兆7215億円)から、1959億ドル(約30兆3645億円)に増加したと予想している。この1959億ドルという数字は、2021年第4四半期以来、最も好調な四半期業績となる。

「当社は、暗号資産が新たな時代への移行の可能性を見せ始めたことで、利益を得るための好位置についたと見ており、コインベースに対する強気の見方を維持している」と、シティバンク(Citi bank)のアナリストはメモに記している。

同行はコインベースを買い推奨としており、今週、目標株価を275ドルから350ドルに引き上げた。11日の株価は270ドルで、前年同期比で90%近く上昇している。しかし、シティのチームは、コインベースの第4四半期の収益が17億ドル(約2635億円)となり、コンセンサス予想の18億ドルを下回ると予想している。

11月の大統領選挙は「暗号資産エコシステムにとって画期的な触媒となった」とJPモルガン(JPMorgan)のケン・ワーシントン(Ken Worthington)氏は記しているが、それでも同氏はこの株式に対して中立の立場を維持している。ワーシントン氏は、第4四半期の収益を17億7000万ドル(約2743億5000万円)と見ており、これも18億ドルというコンセンサス予想を下回る。

2025年の見通し

2024年の最後の数カ月間には暗号資産とコインベースにとって多くの追い風があったが、政策変更は通常、施行までに時間を要するため、2025年の予測は難しいとウォール街のアナリストは指摘する。

「2025年については、暗号資産の価格は横ばいと想定し、より正常化された取引量により、取引収益成長率はコンセンサス予想の前年比3%に対して、6%を見込んでいる」とシティは述べた。

「過去と異なり、2025年を通して株式は『リスクオン』の動きを維持し、マクロ経済の動向や市場センチメントの変動に伴い、変動しやすい状態が続くだろう」とシティは続けた。「しかし、今後1、2年はコインベースのビジネスモデルや競争戦略、そして暗号資産資産市場全体にとって、非常に重要な時期になる」と述べた。

過去1年間のコインベースの主な優先事項の1つは、収益源の多様化だったが、その50%は依然として取引手数料によるものだ。調査会社のKaikoによると、最も高い取引手数料を支払う個人投資家は、2021年の水準にはまだ戻っていない。この顧客層による取引量の割合は、2021年の40%から18%に縮小しており、取引収益の重荷になっているとKaikoは述べている。

シティによると、コインベースは2025年までに、資産のトークン化、スマートコントラクト・アプリケーションの組み込み、Web3、国境を越えた送金における潜在的な効率性、ブロックチェーンをAIガバナンスツールとして使用することなどにより、この問題を解決できる可能性がある。

「当社の見解では、コインベースの成長軌道の次の進化は、実用性に依存する。実用性は、多くの概念実証が存在する分野だが、おそらくより明確なルールが確立されるのを待っている状態だ」と、同行のアナリストは記している。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Coinbase Q4 Earnings Expected to Show Best Volume Since 2021