「当番制」をDAOに活用など、次世代プロジェクト9組がプレゼンテーション

Web3領域のリサーチや研修などを行っているFracton Venturesが主催したFracton IncubationのDemo Dayが2月14日、都内で開かれた。DAO(分散型自律組織)を活用した環境問題の解決やDeFi(分散型金融)やNFTに関連したポートフォリオツールの開発などに取り組む国内外の9プロジェクトが、ビジネスや市場開拓戦略などについて10分間のプレゼンテーションで競い、3つの賞が決定した。

このイベントはEthereum Alignmentに特化したインキュベーションプログラムの一環で、分散型プロジェクトや公共財の発展を目指す次世代のクリプトファウンダーの支援を目的としている。2年半ぶりの開催となった今回は2024年12月にキックオフ、専門家によるレクチャーやプロジェクト支援のためのメンタリングなどが行われてきた。

プレゼンテーションを行ったのは、透明性のある抽選ツールの開発を行うRaffleCast、貢献の記録と報酬の分配をシンプルで効率的に実行するDAOツールの開発に取り組むToban – 当番 – をはじめ、scoop.fun、Comoris DAO、KON、byteStream、NetSepio、Heterod0x、Assetifyの計9つのスタートアップ。

[制限時間10分で行われたピッチコンテスト]

参加者にわかりやすく伝えるため、ジョークを交えたり、資料を工夫したりする登壇者もいた。会場からは拍手や笑いが起こり、和やかな雰囲気でプレゼンは進んだ。発表後には、ターゲットとするユーザー層やペルソナ、既存サービスと差別化する方法などについて質問が飛んでいた。

小学生にも親しみがある「当番制」をDAOに活用

最終的には、「Positive-sum Award」「Open source Award」「Decentralization Award」の3つの賞が決定。より広範なエコシステム構築に貢献し、コミュニティ全体に利益をもたらしたチームに贈られたPositive-sum Awardに輝いた「Toban – 当番 – 」のコア・コントリビューターの川邊悠紀氏は「私たちの旅は始まったばかり」と話し、うれしさをにじませた。

[Positive-sum Awardを受賞したToban – 当番 -の川邊氏(右)]

世の中に広まっているDAOツールには欧州発のものが多く、タスクを掲示板に載せ、希望者が手を挙げるバウンティ方式で割り振る仕組みが主流だと指摘。この方式は日本人には馴染みが薄いと考え、「日本人なら小学生の頃から親しんできた」当番制を活用することを発案。一人一人に役割と裁量をセットで与える仕組みを考え、プロジェクトを進めてきたという。

また、日本人には、細分化されたタスクから自分が選ぶよりも「あなたはこのロールです」と役割が決まる方が適しており、役割を与えられた個人が裁量を持ってタスクの細分化を行う方が、分散化の思想にも合致していると述べた。

今後の展望としては、「日本では活用事例が出てきたので、台湾や韓国など同じアジア圏に広げていきたい」と話していた。

|文・写真:橋本祐樹