ストラテジー、6月にS&P500組み入れの可能性──第1四半期のビットコイン終値9万6000ドル以上が必要との試算
  • ストラテジーは、2025年第1四半期の収益がビットコインによる過去の損失を相殺するのに十分強かった場合、早ければ6月20日にS&P500に組み入れられる資格を得る可能性がある。
  • そのためには、ビットコインの第1四半期の終値が、同四半期の同社の平均購入価格である9万6337ドルを上回る必要がある。
  • この水準を下回る終値だった場合、ストラテジーは損失を計上することを余儀なくされ、S&P500への組み入れは妨げられるかもしれない。

ストラテジー(Strategy)は、6月20日までにS&P500に組み入れられる軌道に乗る可能性がある。

現在、同社は1つの要件を除いてすべての適格要件を満たしている。その要件とは、直近12カ月間(直近の4四半期の合計)でのGAAP(一般的に公正妥当と認められている会計原則)による純利益がプラスを達成していることだ。適格となるためには、2025年第1四半期の収益が前3四半期の損失を相殺するのに十分多くなければならない。この目標は、財務会計基準審議会(FASB)のデジタル資産会計規則の採用(現在は必須)のおかげで達成される可能性がある。

FASBの規則変更により、企業はビットコイン(BTC)保有を公正価値で認識することが義務付けられ、価格上昇が利益に直結する(価格下落の場合も同様)。この規則以前は、企業のデジタル資産保有者は、保有資産を最も弱い水準で会計処理することが義務付けられていた。例えば、ストラテジーは2024年第4四半期でもビットコインを1枚あたり1万6000ドル未満で評価していた。その結果、ビットコインの2024年の終値は約9万4000ドルだったにもかかわらず、10億ドル(約1500億円、1ドル150円換算)の減損損失を計上した。

S&P500は聖杯

リチャード・ハス(Richard Hass)氏がX(旧Twitter)で行った分析によると、ストラテジーの保有量が現時点から3月31日までに変化しないと仮定すると、直近12カ月間の収益がプラスという要件を同社が満たすためには、ビットコインが第1四半期を9万6337ドル以上で終える必要があるという。同氏は、「2024年第4四半期の収益では純利益が-6億7100万ドル(約1007億円)だったことに基づくと、ストラテジーが直近4四半期でプラスの収益を生み出し、S&P500に適格となるためには、2025年第1四半期に11億1300万ドルの収益が必要だ」と指摘。「ストラテジーの現在の47万8740BTCの保有量に基づくと、これを達成するために3月31日に必要なビットコイン価格は9万6337ドルだ」と説明した。

ビットコイン価格が強さを維持し、ストラテジーがビットコインの蓄積を続ければ、S&P500への組み入れは手の届くところにある。ベンチマーク(Benchmark)のアナリスト、マーク・パーマー(Mark Palmer)氏が指摘した。

パーマー氏は、「ストラテジーが改訂されたFASBのガイダンスを採用したことで、S&P500への組み入れの根拠が強まった。4年間にわたって現在の全ての指数構成銘柄のパフォーマンスを上回っていることを考えると、除外されることは驚きだろう」とコメントした。

同氏は、「ナスダック100への組み入れは重要なことだったが、S&P500は聖杯だ」とし、「組み入れられれば、そのビットコイン戦略が正当化されることになる。すべてのS&P500インデックスファンドがストラテジーの株式を保有することになり、投資家は間接的にビットコインにエクスポージャーを持つことになるからだ」と述べた。

|翻訳・編集:林理南
|画像:CoinDesk/Danny Nelson
|原文:Strategy Could Be Eligible for S&P 500 Inclusion in June if Bitcoin Closes Q1 Above $96K