イーサリアムの上昇から一転、暗号資産市場全体の下落へ──ビットコインは9万6000ドルを割り込む

- イーサリアム(ETH)は週末に強さを見せ、2月17日には先物市場での取引の増加に伴って、7%高の2850ドルまで値上がりした。
- この上昇は、2月上旬の市場全体の暴落に先立った1月下旬のイーサリアムの上昇を彷彿とさせるものだった。
- LMAXグループ(LMAX Group)のジョエル・クルーガー(Joel Kruger)氏は、イーサリアムはビットコイン(BTC)に対する数年にわたる下落に終止符を打つかもしれないと指摘。コインパネル(CoinPanel)のアラン・ホーカー(Aran Hawker)氏は、本来あるべき価格に追いつこうとしている動きに過ぎないと述べた。
イーサリアムは週末にかけて強さを見せ、冴えない値動きからの脱却に対する投資家の期待に拍車をかけたが、市場全体の下落を予感させる結果となった。
米国の祝日のため取引は低調だったが、イーサリアムは7%も上昇し、セッション高値の2850ドルまで値上がり。他の暗号資産(仮想通貨)をアウトパフォームした。
その後、ビットコインが9万7000ドル超から9万5500ドルに下落するなど、市場全体が下落するなか、イーサリアムも上昇分のほとんどを失い、2730ドルまで下落した。
それでも、イーサリアムは過去24時間で2%の上昇を維持した一方、広範な暗号資産市場のベンチマークであるCoinDesk 20 Indexとビットコインは約2%下落した。

トレーダーたちは、1月下旬から2月上旬にかけて、イーサリアムの短期的な上昇が暗号資産価格の全体的な低迷の前兆となった事例など、過去の出来事を素早く指摘した。
イーサリアムは1月下旬から2月下旬、3日間で3400ドルまで10%上昇した後、貿易戦争への懸念から降伏に終わり、取引高の少ない週末にかけて35%安2000ドル近くまで下落。ビットコインも13%値下がりした。
Eth pumps for 5% –>
— Ritesh (@Ritesh_Trades) 2025年2月17日
Entire market in next hour pic.twitter.com/jOMX3RpOaX
イーサリアムが5%値上がり–>
次の1時間の市場全体の動き
イーサリアムの上昇は、ソラナ(Solana)上のアルゼンチン発のミームコインLIBRAや、BNBチェーンベースのBROCCOLI(バイナンスのジャオ元CEOが自分の犬の名前を明らかにしたことに触発された)などのミームコインの大失敗が、ライバルのレイヤー1ネットワークの各トークンに重くのしかかる中で発生した。
「イーサリアムの最近の値動きはアウトパフォームではなく、むしろ本来あるべき値段に追いついていると言った方が良いだろう」と、取引自動化プラットフォーム、コインパネルのCEOであるアラン・ホーカー氏は語り、次のように続けた。
「一部のトレーダーはソラナからイーサリアムに戻ったかもしれないが、明確なトレンドの転換や構造的な変化はない。アウトパフォームと見えるようなどんな上昇も、次の大きな市場の動きによって消し去られる可能性がある」。
LMAXグループの市場ストラテジスト、ジョエル・クルーガー氏はより楽観的で、この値動きはイーサリアムがビットコインに対する数年にわたる下落に終止符を打つ兆候かもしれないと述べた。
「イーサリアムは2021年以来の下落トレンドを経て、ビットコインに対してついに大底をつけたがっている可能性を示唆する証拠がある」と、クルーガー氏は17日に述べ、次のように続けた。
「我々は、ETH/BTCレシオ(イーサリアムのビットコインに対する価格比率)の月間での高数値を注視することが重要になると考えており、これまでを上回る水準に達すれば反転の見通しを後押しするだろう」。
暗号資産トレーダーのイーサリアム投資への関心は、ビットコインと比較して17日に急上昇したことがコイングラス(CoinGlass)のデータで示されている。
イーサリアム先物の建玉は、ビットコイン先物の建玉が1%しか伸びなかったのに対し、オフショアマーケットプレイスのバイナンス(Binance)Gate.io、バイビット(Bybit)が主導し、ここ24時間ですべての取引所を合わせて12%増の927万枚(約26億ドル相当)に達した。
|翻訳・編集:山口晶子
|画像:Shutterstock
|原文:Ether Rally Turns Into Crypto Market Slide With Bitcoin Slipping Below $96K