デジタル通貨フォーラム分科会、企業間取引の変革を目指すプラットフォームの途中経過を公表

大手銀行など100社以上が参加するデジタル通貨フォーラムのインボイスチェーン分科会は2月19日、受発注システムと会計システムをつなぎ、企業間取引の効率化を目指すプラットフォーム構築に関してまとめた「インボイスチェーン分科会 STEP1報告書」を公表した。

報告書では、業種やEDI(電子データ交換)の利用有無にかかわらず、インボイスチェーンに取り込むデータ項目や標準化の考え方を整理。また、債権・債務データと取引明細を格納する「精算トークン」の基本構想も示している。同分科会に参加する企業の経理担当者へのヒアリングを通じ、現場業務の課題や作業負荷も分析した。

入金消込などが手作業に依存する現状

同分科会は2024年5月に発足し、日立製作所やKDDIなど16社が参加。企業間決済の課題として、受発注システムと会計システムの連携不足により、入金消込など債権・債務情報の確認が担当者による手作業に依存していることなどを指摘。同年10月までを「STEP1」とし、統一規格の検討や準備を進めてきた。

報告書では、既存システムを活用しながら企業間取引の精算プロセスを効率化するための基盤構築を提案。インボイスチェーンの全体像を示しているほか、請求書や銀行送受金システムなどを横断するデータ項目を標準化させる方法などがまとめられている。

精算トークンとDCJPYの活用

STEP1では7回の分科会を実施し、社会実装イメージの策定を行った。精算トークンを同フォーラムが支援するデジタル通貨DCJPYで精算することで、契約から決済までを一貫してシームレスに処理する仕組みを目指すとしている。

2024年11月から始まった「STEP2」では、標準化データを活用したユースケースの確立とPoC(概念実証)による検証を進める。さらに、EDIを利用していない企業や他業種への適用可能性についても検討する予定としている。

|文:橋本祐樹
|画像:インボイスチェーンの社会実装イメージ(分科会設立発表資料から)、インボイスチェーン分科会 STEP1報告書(キャプチャ)