テザー、南米の大手農業企業アデコアグロに買収を提案
  • テザーの投資部門は今月初旬、農業生産企業アデコアグロの過半数株式取得を目的とした拘束力のない非公式な買収提案を行った。
  • 買収額は1株あたり12.41ドルだ。NYSE上場のアデコアグロ株は、取引開始前の時点で8%上昇し、10.48ドルになった。
  • アデコアグロの取締役会は、財務および法律顧問とともにこの買収提案を検討しているという。

1400億ドル(約21兆円、1ドル=150円換算)規模の米ドル建てステーブルコイン、テザー(USDT)を発行する暗号資産(仮想通貨)企業のテザー(Tether)社は、ラテンアメリカの農産物生産企業アデコアグロ(Adecoagro)の過半数株式取得を提案した。

2月14日に行われた1株あたり12.41ドルの買収提案は、テザー社の保有率を現在の19.4%から51%へ高めることを目的としたものだとアデコアグロ社の2月18日のプレスリリースで述べている。

アデコアグロ社の取締役会は2月16日に会合を開き、この買収提案について話し合ったという。また、この買収提案を受け入れることが株主の利益に適うかどうかを判断するために、財務および法務アドバイザーを起用したと同社は述べた。

ニューヨーク市場の前場の取引で、アデコアグロ社の株価は8%上昇し、10.48ドルとなった。

アデコアグロ社は、砂糖、エタノール、乳製品、農作物の生産に重点的に取り組み、アルゼンチン、ブラジル、ウルグアイで事業を展開する南米の大手農業ビジネス企業だ。

「土地は重要な資産クラスであり、希少で、長期的なリターンをもたらし、地政学的不安の時代には歴史的に安全な避難先となってきた」と、テザーの広報担当者はCoinDeskに電子メールで述べた。「農業への投資は、当社のレジリエンスと持続可能性というビジョンに沿うものであり、当社が保有するビットコイン(BTC)やゴールド(金)と補完し合うだろう。農業生産に重点的に取り組むアデコアグロは、人類の未来にとって不可欠な産業を支援する機会を提供する」。

テザー社の投資オファーは、同社がコアとなる暗号資産事業以外にも事業を拡大している最中に発表された。このステーブルコイン発行企業は、昨年130億ドル(約1兆9500億円)の純利益を上げたとしている。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Tether Made ‘Unsolicited’ Bid for Majority Stake in $1B LatAm Agribusiness Adecoagro