NFTコレクターがデジタルアートを300万ドルで購入──過去3年間の最高額

- アメリカのアートコレクティブがサム・スプラット氏の1点もののアート作品を300万ドルで購入した。
- スプラットの作品を支持する人は、NFTを購入することで、今後数日間に開催されるゲームに参加できる。
- 2022年以降、NFTセクター全体の取引量は減少している。
アメリカのアートコレクティブ、Kanbasが先週、過去3年間で最大のNFT(非代替性トークン)購入を行い、サム・スプラット(Sam Spratt)氏の1点限りのデジタルアート作品を300万ドル(約4億5000万円、1ドル=150円換算)で落札した。
このアート作品は「X.Masquerade」と呼ばれ、「Story of Luci」の第6章にあたる。この作品は、招待制のイベントと連携しており、サポーターは「Mask of Luci」を2.56 ETH(約106万円)で購入することで、ゲームに参加できる。
「我々はサム・スプラット氏を支援し、Masqueradeを世界に広めるのを手伝えることを誇りに思う。これは、サム氏と彼が生み出した偉大な作品、そして何よりも、それを支える共通の価値観を称える我々のやり方だ」とKanbasはXに投稿した。
今回はエアドロップを含むNFTプラットフォームOpenSeaによるマーケティングキャンペーンという、NFTセクターにとって時宜を得た後押しもあった。CoinGeckoによると、取引高は過去24時間で4000万ドル(約60億円)に達し、前日の29%増となった。
しかし、NFT市場全体としては、以前のサイクルのような高騰を再現するには至っておらず、CryptoPunksやBored Ape Yacht Clubなどのコレクションのフロア価格がそれぞれ71%と91%下落していることから、活動は減少し、一般的なセンチメントも弱まっている。
市場の苦境の多くは、最近のミームコインの730億ドル(約10兆9500億円)の上昇と関連しており、小口の投資家は、取引手数料が最小限で、流動性が高く、参入障壁が低いことを理由にミームコインを好んでいるようだ。
しかし、Kanbasの300万ドルの作品購入は、投機的なプロフィール画像(PFP)コレクションから、多くの人々の注目ではなく少数の愛好家の崇拝に価値がある本物のアートへと、NFT市場が成熟しつつあることを示している。
2022年のNFTの急速な成長は中毒性があり、何百万人もの参加者を惹きつけ、毎週何十億ドルもの取引高を記録したが、市場自体は持続不可能だった。デジタルアートを購入するための基礎資産が下落し始めると、NFTコレクターは安く売ることで損失を減らそうとした。その結果、流動性の危機が生じ、最終的に連鎖反応が起こった。
投機的なバブルはいつかは弾けるものだ。2017年のICOトークンの大半はもはや機能していないが、今も存在するものは数十億ドルの価値がある。NFTについては、今では金銭的な価値や「一攫千金」という側面よりも、アートそのものの文化的・創造的価値が重視されているようだ。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:NFT Collector Buys Digital Art for $3M, Largest Sale in 3 Years