リブラトークンの共同創設者、アルゼンチン・ミレイ大統領の妹に金銭を支払ったと主張
  • リブラの共同創設者ヘイデン・デイビス氏は、アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領に対する影響力を買収したとテキストメッセージで自慢した。
  • デイビス氏は12月、ミレイ大統領の勢いのある妹に金銭を送ることができ、「彼は私の望むことをする」と述べた。
  • この主張は、ミレイ大統領によるリブラの宣伝に関する汚職調査に新たな側面を加えるものだ。

リブラ(Libra)トークンの背後にいる重要人物が、このミームコインの物議を醸す発行と暴落が発生した数カ月前に、アルゼンチンのハビエル・ミレイ(Javier Milei)大統領に近しい人物へのアクセスを買収したと自慢していた。

CoinDeskが確認したテキストメッセージによると、ケルシエ・ベンチャーズ(Kelsier Ventures)のCEOであるヘイデン・デイビス(Hayden Davis)氏は、ミレイ大統領の政権において勢いのある人物であり、大統領の妹でもあるカリーナ・ミレイ(Karina Milei)氏に対して行った支払いにより、ミレイ氏を「コントロール」できると主張していた。

デイビス氏は12月中旬のテキストメッセージで、「俺はあいつをコントロールしている」と主張し、「妹に金を送っている。あいつは俺の言うことに何でも署名し、俺の望むことをする」と述べた。

[リブラの共同創設者ヘイデン・デイビス氏(灰色)とほかの人物とのテキストメッセージ(CoinDeskが入手したスクリーンショット)]

CoinDeskは事情に詳しく匿名を希望する情報源からこのテキストメッセージを入手した。この記事の公開後、デイビス氏の広報担当者であるマイケル・パドバーノ(Michael Padovano)氏はCoinDeskに対し、デイビス氏はそのようなメッセージを送った記憶がなく、自身の携帯電話にも送信した記録はないと述べた。

声明では、「ハビエル・ミレイ大統領や彼の妹であるカリーナ・ミレイ氏に対してリブラのミームコインを発行するために私が支払いをしたと主張する最近のメディア報道は完全に虚偽だ。私は彼らに一切の支払いをしておらず、彼らも要求していない。彼らの唯一の関心は、リブラからの収益がアルゼンチンの国民と経済に利益をもたらすことを確実にすることだった」と説明された。

さらに、「これはミレイ大統領に対する政治的に動機付けられた攻撃に過ぎない」と主張している。

カリーナ・ミレイ氏は現在、アルゼンチン国家大統領府の事務総長の職にある。カリーナ氏のオフィスはコメント要請に応じなかった。

リブラの発行に先立ち、デイビス氏とミレイ氏の側近との間で金銭のやり取りがあったかどうかは不明だ。

デイビス氏の12月の主張は、アルゼンチン大統領府が開始したハビエル・ミレイ氏に対する汚職調査に新たな側面を加えるものだ。ミレイ氏は15日、同国の中小企業への資金提供の新しい方法として、破滅した暗号資産リブラを紹介した。

しかし、ソラナベースのこのミームコインの発行で最大の勝者となったのは、デイビス氏とケルシエ・ベンチャーズだった。両者が管理するウォレットは、リブラの最初の数時間で1億ドル(約150億円)以上を手にした。リブラは当初5ドル(約750円)まで急騰し、その後95%以上暴落して数百万ドルの投機的投資を吹き飛ばした

アルゼンチンの野党指導者らは、地元メディアが「クリプトゲート」と名付けたこの事件をめぐって弾劾裁判を求める可能性があると警告している。この不祥事はアルゼンチンの株式市場の重しになり、ミレイ氏を「ダメージコントロール」に追い込んだと同国の暗号資産ウォッチャーは述べた。

12月のテキストメッセージでは、デイビス氏はミレイ大統領にソーシャルメディアでこのベンチャーを宣伝させることができると主張していた。2カ月後のミレイ大統領によるリブラに関するツイートがその急騰を後押しした。わずか5時間でそのツイートを削除した時には、リブラの価格はすでに暴落していた。オンチェーンが調査され、不審な取引の証拠が発見された後のタイミングだった。

|翻訳・編集:林理南
|画像:Shutterstock
|原文:Libra Token’s Co-Creator Claimed He Paid Argentinian President Milei’s Sister