ビットコイン、需要とネットワーク活動の低迷で8万6000ドルまで下落する可能性: CryptoQuant
  • ビットコインは9万6000ドル前後の狭いレンジで取引されているが、いくつかの指標は、8万6000ドルへのより大きな後退のリスクを示唆していると、オンチェーン・市場データ分析を手がけるクリプトクオンツ(CryptoQuant)のアナリストは述べた。
  • ビットコインの需要、ネットワーク活動、流動性の状況は依然として低迷しており、価格のさらなる下落圧力を示唆しているという。
  • ビットコインが週サイクルの後半にさしかかり、センチメントのリセットはほぼ完了したと、トレーダーのボブ・ルーカス(Bob Loukas)氏は指摘した。

ビットコイン(BTC)は2月18日の下落からすぐに9万3000ドルまで持ち直したが、下落圧力はまだ続いており、8万6000ドルまでさらに値下がりするリスクがあると、クリプトクオンツのアナリストは指摘した。

クリプトクオンツのレポートによれば、需要の減退、ブロックチェーン活動の低迷、暗号資産(仮想通貨)への流動性流入の不足などが、ビットコインをさらに引き下げる要因である。

トランプ氏の米大統領選勝利で規制の逆風が緩和されるとの楽観的な見方の中、2024年後半に持ち直したビットコインの需要は現在、減退している。

クリプトクオンツのデータによると、需要は12月4日の27万9000BTCのピークから、最近では7万BTCと低迷している。

ビットコイン現物ETF(上場投資信託)への資金流入は、ビットコインが過去に上昇した際の典型的な現象である。しかし、11月と12月には1日あたり1万8000BTC分もの購入があったETFは過去2週間、日常的に純流出を記録している。

ビットコインETF:ビットコイン保有数の1日ごとの変化とビットコイン価格(CryptoQuant)

一方、取引所間のビットコインの動きを追跡するクリプトクオンツのInter-exchange Flow Pulseも、米国のスポット需要の指標であるコインベース(Coinbase)へのビットコインの移動が90日移動平均を下回り、弱さを示している。

ビットコインの推定需要(CryptoQuant)

暗号資産市場のラリー時に重要な起爆剤となってきたステーブルコインの成長も勢いを失った。ステーブルコインの時価総額の合計は最近、2000億ドルを超えて過去最高を更新したが、拡大のペースは大幅に鈍化した。

最大のステーブルコインであるテザー(USDT)の時価総額の60日平均変化は、12月中旬以降90%以上減少し、200億ドル超から15億ドルに落ち込んだ。ステーブルコインは取引所で暗号資産を購入するのに使われることが多いため、この鈍化は市場に新規資本が参入していないことを示している。

クリプトクオンツのアナリストによると、ビットコインネットワーク上のブロックチェーンアクティビティは、さらなる警告のサインを点滅させている。

クリプトクオンツのBitcoin Network Activity Indexによると、ビットコインのネットワーク活動は1年ぶりの低水準に落ち込んでいる。

この指標は2024年11月のピークから17%減少し、中国がビットコインマイニングを禁止した2021年7月以来初めて、365日移動平均を下回った。トランザクション数の減少は、投資家の関与が低下し、投機的関心が薄れていることを示している。

ビットコインはまもなく底を打つ可能性

ドナルド・トランプ氏の大統領就任を巡る楽観論に煽られ、1月に10万9000ドルの過去最高値を更新した後、ビットコインは地合いを維持するのに苦労し、9万ドル超えの狭いレンジで低迷している。

一方、より広範な暗号資産市場のセンチメントはここ数週間、非常に物議を醸したミームコインのローンチによって打ちのめされ、「TRUMP(トランプ)」や「LIBRA(リブラ)」などによって投機資金が燃え尽きてしまった。

ビットコインが週サイクルの最終局面に入ったことで、センチメントのリセットはほぼ完了したと、信望の厚いトレーダー、ボブ・ルーカス氏は指摘する。ビットコインは近い将来、修正局面の底を見つける可能性があるが、その際、9万ドルのレンジ安値を割り込む可能性がある、と同氏は付け加えた。

「レンジの底(9万ドル)を維持できるかどうかの方が問題だ。どちらにしても、センチメントはリセットされる」と、ルーカス氏はXに投稿した。

|翻訳・編集:山口晶子
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin Could Drop to $86K as Demand, Network Activity Falter: CryptoQuant