ミームコイン「リブラ」で投資家の資産2億5000万ドルが消失:ナンセンが調査報告

- ナンセンのデータによると、リブラへ投資したトレーダーの86%が損失を出し、総損失額は2億5100万ドルに上った。
- 2月14日に素早く売買した2つのアドレスは、500万ドル以上の利益を上げた。
週末にアルゼンチンを揺るがしたミームコインのリブラ(LIBRA)のスキャンダルにより、投資家の資産が数億ドル規模で失われたことが、ナンセン(Nansen)の調査で明らかになった。
ナンセンが追跡したオンチェーンデータによると、トレーダーの86%が合計2億5100万ドル(約376億5000万円、1ドル=150円換算)を失い、一方、勝者は1億8000万ドル(約270億円)の利益を確保した。つまり、これは市場から流動性を吸い出した可能性がある「純粋にマイナスの富を生み出す」出来事だった。
この出来事は、政治的な人物に関連するトークンは、ランダムなミームコインやセレブの暗号資産(仮想通貨)と同様に、数分間で富を生み出したり、あるいは失ったりするリスクがあることを思い知らせるものだ。
リブラは2月14日、ソラナ(Solana)ベースの分散型取引所(DEX)であるメテオラ(Meteora)でデビューし、アルゼンチンのハビエル・ミレイ(Javier Milei)大統領がX上で、このコインを支えるプロジェクトが「アルゼンチン経済の成長促進、中小企業への資金提供、アルゼンチンのベンチャー企業への支援に重点的に取り組む」と発言した直後から、時価総額は45億ドル(約6750億円)以上に急騰した。
4万以上の暗号資産アドレスがトークンに殺到し、価格の高騰に拍車をかけた。しかし、強気な期待感は長くは続かなかった。内部関係者が大量のトークンを売却したことで風船が弾け、時価総額は90%も急落した。
ミレイ氏は最終的に自身のXの投稿を削除し、「プロジェクトの詳細を把握していなかった」と述べ、その宣伝を継続しないことを選択した。しかし、その時点ではすでに被害は拡大していた。
アルゼンチンの野党は一連の出来事を国際的な恥さらしと呼び、ミレイ氏を弾劾すると脅した。
「2月16日から18日にかけて、70%のウォレットがリブラの取引で損失を被った。ハビエル・ミレイ氏によるリツイートで利益を得ようとした人が多かったためだ」とナンセンはCoinDeskに共有した報告書で述べた。
トークンのユニークな保有数は、2月14日の5万以上から、2月18日には3万5770に減少した。一方、協定世界時(UTC)2月14日午後10時01分にトークンを購入し、同10時44分までに売却した2つのウォレットは、合計で540万ドル(約8億1000万円)以上の利益を上げたと報告書は指摘している。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:LIBRA Memecoin Fiasco Destroyed $251M in Investor Wealth, Research Shows