アメリカのステーブルコインの普及は規制の欠如により妨げられている:S&Pグローバル

- 規制の欠如がアメリカでのステーブルコインの利用を制限しているとS&Pの報告書は述べている。
- S&Pは、規制が導入されれば、採用は拡大すると述べた。
- 新たなルールの導入は、ステーブルコイン業界の状況を変化させる可能性がある。
アメリカにおけるステーブルコインの規制の欠如は、採用への障害だと、S&Pグローバル・レーティング(S&P Global Ratings)は2月19日の報告書で述べた。
「規制の欠如は、アメリカにおけるステーブルコインの採用への主な障害の一つであり、機関投資家によるステーブルコインの幅広い採用を妨げてきた」と、モハメド・ダマク(Mohamed Damak)氏率いるアナリストは書いている。
S&Pは、規制が整備されれば、採用は拡大すると述べた。
ステーブルコインとは、米ドルやゴールド(金)などの別の資産価値に連動する暗号資産(仮想通貨)だ。暗号資産市場で大きな役割を果たしており、国際送金にも使用されている。
新たなルールが導入されようとしている。米上院の「Guiding and Establishing National Innovation for U.S. Stablecoins:GENIUS(アメリカにおけるステーブルコインのための国家イノベーションの指針および確立)」法案は、時価総額が100億ドル(約1兆5000億円、1ドル=150円換算)を超えるステーブルコインに対して連邦政府が規制することを義務付けており、連邦規則に沿ったものであれば州が規制する可能性もあるとしている。 一方、下院のSTABLE法は無条件で州の規制を求めている。
一部のユーザーは、枠組みが整えば、規制されていないステーブルコインから規制されているステーブルコインに移行すると予想されており、これは業界の状況を変化させる可能性があると報告書は述べている。
「ステーブルコインは、オンチェーン取引においてますます重要な役割を果たすことになるだろう」と報告書の著者は記し、新興市場における「地域的な通貨不安」からユーザーの貯蓄を守ったり、支払いを受け取ったりするために利用されると述べた。
JPモルガン(JPMorgan)は先週の報告書で、市場リーダーであるテザー(USDT)を発行するテザー(Tether)社は、アメリカのステーブルコイン規制法案により課題に直面する可能性があると述べた。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:U.S. Stablecoin Adoption Is Being Hindered by a Lack of Regulation, S&P Says