トランプ政権が推進、世界は暗号資産を受け入れる以外に選択肢はない:Bitpanda CEO

- 機関投資家は暗号資産(仮想通貨)に資本を移し、市場に「粘着性の高い資金」を生み出していると、Bitpanda(ビットパンダ)のエリック・デムス(Eric Demuth)CEOは述べた。
- トランプ政権の暗号資産推進の姿勢は、グローバルな普及を加速させている。
- 米国の銀行は今、ステーブルコインやトークン化資産を含む暗号資産サービスを積極的に推進しているという。
米国の政策転換を受けて、暗号資産の状況は根本的な変化を遂げている。すなわち、短期的な投機から長期的で安定した投資へと変化しているとBitpandaのエリック・デムスCEOは19日、Consensus香港の会場で述べた。
デムスCEOは、2024年の強気相場は個人投資家が主導した2021年のサイクルの繰り返しではないと述べた。今回のサイクルは、デムス氏が「粘着性の高い資金(sticky money)」と呼ぶもの、つまり、変動性が小さく、より長期的な機関投資家の資本によって牽引されている。
ウィーンに拠点を置くBitpandaは、600万人以上のユーザーを抱える欧州最大級の暗号資産取引所で、暗号資産に加えて株式や貴金属も扱っている。同社は最近、英金融行動監視機構(FCA)の認可を得ている。
トランプ政権の積極姿勢
トランプ政権下での政策への影響について、デムスCEOは、政府が積極的に暗号資産を受け入れていることで、グローバルマーケットは適応を余儀なくされていると述べた。
「トランプ政権は、誰もがそうせざるを得ない状況を強いている。もはや選択肢ではなく、必須だ」
この変化の明確なサインは、ビットコインETFへの関心の高まりであり、取引開始からわずか1年で運用資産残高は約580億ドル(約8兆7000億円、1ドル150円換算)にのぼっている。ビットコインETFは市場の成熟を示しており、大手プレーヤーは目先の利益を追うのではなく、長期的な投資を意図しているとデムスCEOは考えている。
また、アルトコインはビットコインほどの普及スピードには至っていないが、米国の規制整備が進み、アルトコインのETFが承認されれば、状況は変化するという。
次の波は銀行による採用
さらにデムスCEOは、銀行がビットコイン採用の次の波を担うとも考えている。
「暗号資産は米国の経済および金融政策の柱の1つとされており、世界最大の金融大国が暗号資産に注目している。つまり、すべての銀行は暗号資産に注目し、さらには何らかのサービスを提供しなければならない」
デムスCEOは、米国の銀行から直接発行されるステーブルコインの増加と、トークン化資産(国債から不動産まで)の増加を予測している。
ヨーロッパでは、Bitpandaは引き続き、複雑な規制環境に対応することに重点を置き、複数のライセンスを保有し、欧州市場における主要プレーヤーとしての地位を確立している。デムスCEOは、ヨーロッパの新規顧客のポテンシャルは十分に大きく、同社は欧州での拡大に重点を置くと述べた。
一方で同社はB2Bサービスを拡大しており、暗号資産インフラを欧州および中東の銀行にライセンス供与しているとデムスCEOは述べた。ドイツ銀行やフランスの最大の銀行グループをはじめとする複数の大手金融機関がすでにBitpandaのバックエンドシステムを採用している。
|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:Consensus香港で登壇中のデムスCEO(CoinDesk)
|原文:Trump Crypto Push Leaves World No Choice but to Embrace Digital Assets: Bitpanda’s Demuth