イーサリアムが上昇、Bybitが購入開始との報道で
  • ハッキングを受けた暗号資産(仮想通貨)取引所Bybit(バイビット)がイーサリアム(ETH)の購入を開始したとの報道を受け、22日、イーサリアム価格は上昇した。
  • ハッカーは約48万9000ETH、約13億4000万ドル(約2010億円、1ドル150円換算)相当を保有しており、イーサリアム保有者としては14番目の規模となる。
  • 専門家は、今回のハッキングは北朝鮮のハッカー集団「ラザルス(Lazarus)」によるものと見ているが、盗んだ資金はさほど活用できないだろうと指摘している。

イーサリアム価格は、24時間で2.3%以上上昇した。一方、広範な市場指標のCoinDesk 20 Indexは0.76%の上昇に留まった。ビットコイン(BTC)は約0.3%下落。

この上昇は、北朝鮮のハッカー集団「ラザルス」によって約15億ドル相当のイーサリアムをハッキングされた暗号資産取引所Bybitが、1億USDTを新しいアドレスに移し、その半分を店頭取引で3万6900ETHを購入するために移動させたと伝えられた中でのことだ。

約1億100万ドル相当の資金は、その後、Bybitが管理するアドレスに移されたと、暗号資産ジャーナリストのコリン・ウー(Colin Wu)氏がArkham Intelligenceのデータを引用して伝えた。

ウー氏によると、Bybitのベン・チョウ(Ben Zhou)CEOは「ask me anything」で、同社の資産は「15億ドルをはるかに上回る」と述べ、さらに「金庫内のコールドウォレットには、約30億ドルのUSDTがある」と続けたという。

Bybitのハッカーは現在、約48万9000ETHを保有している。これはイーサリアムの総供給量の約0.4%に相当し、イーサリアム保有者としては14番目の規模となる。

ハッカーに関連するアドレスは現在、厳重に監視されており、主要な暗号資産取引所ではブラックリストに登録されている。

「盗まれた資金はすでにマークされており、ハッカーが使用することはきわめて困難。盗んだ資金を主要な取引所に送金しようとしても、即座にブロックされる」と、StealthEXのマリア・カロラ(Maria Carola)CEOはCoinDeskに語った。

ハッカーはおそらく資金を利用できないため、一部のアナリストは、ハッカーが保有するイーサリアムは「実質的には消滅した」と指摘している。

|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
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|原文:Ether Price Spikes Further on Reports of Bybit Starting to Buy ETH