SEC、Coinbaseに対する訴訟を取り下げへ──暗号資産にとって大きな転換点
  • 米証券取引委員会(SEC)は、米暗号資産(仮想通貨)取引所Coinbase(コインベース)に対する訴訟を取り下げることで合意したと伝えられた。これは、業界にとってSECに対する最も重要な法的勝利の1つとなるだろう。
  • Coinbaseは未登録の取引所を運営し、未登録の有価証券を上場していたとする告訴をSECが完全に断念するという決定は、他の機関による取り締まりにも大きな影響を及ぼすことになる。
  • 今回のSECの決定により、米国での暗号資産の規制をめぐる動きの焦点は、裁判所から議会へと移ることになる。

Coinbaseの弁護士によると、SECは、Coinbaseに対する告訴を完全に断念することについて間もなく投票を行う予定だという。

SECは暗号資産に対するこれまでのスタンスを覆す動きをほぼ毎日行っているが、今回の決定は、さまざまな暗号資産ビジネスをSECの執行措置から解き放つ一連の法的ドミノの始まりを意味する画期的な瞬間となる可能性がある。

Coinbaseの最高法務責任者(CLO)、ポール・グレワル(Paul Grewal)氏によると、SECによる同社に対する証券違反の告訴は永久に断念されることになるという。

「Coinbaseにとって素晴らしい日であり、同時にアメリカの暗号資産にとっても素晴らしい日だ」とグレワル氏はCoinDeskのインタビューで語った。

「我々になされた説明に基づいて、承認が得られ、それによって却下が確定するだろう」とグレワル氏。さらにシンプルな言葉で繰り返した。

「我々が勝って、彼らが負ける」

ブライアン・アームストロングCEOも21日に投稿した動画で「今後の方向性を示す重要なシグナル」と述べた。

SECが最初にCoinbaseをターゲットにしたことは、業界に対する警告を意味した。SECは、Coinbaseは清算機関、仲介業者、取引所として登録していないことを理由に、連邦法に違反していると主張した。Coinbaseは裁判で戦うことを選択した。

トークンはSECの管轄下にある「証券」として取引されているのだろうか?

業界は、ほとんどのトークンは実際には証券であるというゲンスラー前SEC委員長の主張について、最終的には最高裁まで含めた司法の判断を待たなければならないだろうと長い間考えていた。しかし、今回、SECが告訴を断念したことは、他の案件にも影響を及ぼす可能性が高く、そうなれば法的な定義に関する最終的な判断は議会に委ねられることになる。

つまり、業界の主な焦点は法的な争いではなく、ロビー活動に向かう可能性がある。

SECの広報担当者は、Coinbaseが明らかにした内容についてコメントを控えた。

|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:ブライアン・アームストロングCEO(CoinDesk)
|原文:SEC Poised to Drop Coinbase Lawsuit, Marking Big Moment for U.S. Crypto