イーサリアム、ペクトラアップグレードを開始──テストネット「Holesky」でのファイナライズに失敗

- イーサリアムのアップグレード「ペクトラ」は、24日にテストネット「Holesky」で有効化されたが、ファイナライズに失敗。
- テストネットワークがファイナライズに失敗した理由は完全には明らかになっておらず、イーサリアム開発者たちが調査中。
イーサリアム(Ethereum)のアップグレード「ペクトラ(Pectra)」は、24日にテストネット「Holesky」で稼働を開始したが、予想された時間内にファイナライズできなかった。
ペクトラは協定世界時(UTC)の21時55分(米東部時間16時55分)にHoleskyで有効化されたが、ブロックチェーンのデータによると、当初はファイナライズされなかった。
ファイナリティとは、トランザクションが確認されてブロックに追加されると、そのトランザクションは不変で取り消せない状態のこと。テストネットはメインのブロックチェーン(今回のケースはイーサリアム)をコピーしたネットワークで、アップグレードや新しいコードをメインネットワークで適用する前にテストするために使用される。
ペクトラアップグレードがHoleskyでファイナライズされなかった理由は、すぐには明らかになっていない。イーサリアムの開発者たちは24日、Ethereum R&D Discordチャンネルで問題の原因について議論していた。
イーサリアムのテストネットワークでアップグレードがファイナライズされなかったのは、今回が初めてではない。2024年1月、開発者たちがアップグレード「デンクン(Dencun)」をテストした際、ハードフォークは当初テストネット「Goerli」でファイナライズされなかった。
ペクトラとは?
ペクトラハードフォークは、11の主要なアップグレード、すなわち「イーサリアム改善提案(EIP)」を1つのパッケージにまとめたもの。その中心にあるのがEIP-7702で、暗号資産(仮想通貨)ウォレットのユーザーエクスペリエンスを改善することを目的としている。イーサリアムの共同創設者であるヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏がわずか22分で書き上げたこの提案は、ウォレットにスマートコントラクト機能を持たせることを可能にする。これは、イーサリアムにアカウントの抽象化をもたらすという広範な戦略の一環であり、ウォレットの使い勝手を大幅に向上させる概念だ。
もう1つの重要な提案であるEIP-7251では、バリデーターがステーキングできる最大量を32ETHから2048ETHに増やせる。この提案は、イーサリアムをステーキングするバリデーターが現在直面している技術的な問題の一部を緩和するものだ。32ETHを超える量をステーキングする場合、複数のバリデーターに分散させる必要があり、そのプロセスは少々厄介なものとなっている。ステーキング制限を撤廃し、これらのバリデーターを統合することで、新しいノードを設定するプロセスをスピードアップできる可能性がある。
Holeskyは、ペクトラのシミュレーションを実行する2つのテストネットのうちの最初のものだ。次のテストは3月5日にテストネット「Sepolia」で行われる予定。だが、ギャラクシー・デジタル(Galaxy Digital)のリサーチチームのバイスプレジデント、クリスティン・キム(Christine Kim)氏によると、今回の問題の規模によっては、開発者がテストを延期する可能性もある。
ペクトラが両方のテストネットで稼働を開始したあと、開発者はメインネットでアップグレードを有効化する最終的な日付を決定する予定だ。
ペクトラは当初、イーサリアムにとってこれまでで最大のアップグレードとなる予定で、ブロックチェーンへの大きな変更はほぼ1年ぶりとなる。開発者はペクトラが野心的すぎると判断し、元のパッケージを2つに分割することで合意した。
|翻訳・編集:廣瀬優香
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|原文:Ethereum’s Pectra Upgrade Goes Live on ‘Holesky’ Testnet, But Fails to Finalize