金連動型トークン、好調──金ETFへの資金流入は約3年ぶりの高水準
  • 金を裏付けとするETF(上場投資信託)は、2022年3月以降で最大の週間流入を記録し、約49億ドル(約7300億円、1ドル=149円換算)相当の52.4トンに達した。
  • 金価格は、地政学的緊張と関税をめぐる不確実さによって、年初来で約11%、過去1年間で43%以上上昇している。
  • 暗号資産(仮想通貨)トークンの中でその恩恵を受けたのは、PAXGとXAUTである。

ビットコイン(BTC)現物ETFは2月25日、投資家が10億ドル近くを引き揚げ、1日としては過去最大の資金流出を記録した一方で、金ETFは引き続き大量の資金流入を記録しており、金を裏付けとする暗号資産にとっても好材料となる可能性がある。

ワールド・ゴールド・カウンシル(World Gold Council)のデータによると、現物の金に裏付けられたETFは先週、2022年3月以降で最大の流入を記録。およそ49億ドル相当の52.4トンが流入し、その需要のほとんどは北米からのものであった。

ワールド・ゴールド・カウンシルによると、金ETFの金の保有量は全体で3326トン、およそ3140億ドルに相当する。

金ETFの需要と価格(World Gold Council)

金価格はここ数日の下落にもかかわらず、2025年に入ってから11%弱、前年比では43%上昇し、現在1オンスあたり2910ドルで取引されている。アナリストが指摘する理由の中には、地政学的緊張の高まりと、トランプ大統領の関税の脅威をめぐる不確実性がある。

パックススゴールド(PAXG)やテザーゴールド(XAUT)など、金価格に連動するように設計された暗号資産は、前年比26%上昇したCoinDesk 20 Indexを指標とする広範な暗号資産市場をアウトパフォームしている。

金連動型トークンに対する需要も上昇している。RWA.xyzのデータによると、今月は2500万ドル相当の金連動型トークンがミント(発行)され、2022年12月以降で最大の月間量となった。一方、バーン(焼却)されたトークンは約1200万ドル相当であった。

金の需要が右肩上がりの中、供給量はほとんど変わっていないようだ。ワールド・ゴールド・カウンシルのデータによると、昨年第4四半期の採掘生産量は前四半期より約2トン減少し、ヘッジとリサイクルが増加した。合計すると、追跡された供給量は前年同期比で約1%増加した。

|翻訳・編集:山口晶子
|画像:Scottsdale mint/Unsplash
|原文:Gold-Back Cryptos Outperform as Precious Metal ETF Inflows Near Three-Year High