暗号資産の法的位置づけを議論──塩崎議員「金商法適用バランスいい」

2月27日に開催された衆議院予算委員会第一分科会で、自民党デジタル社会推進本部web3担当の塩崎彰久議員が質問に立った。

塩崎議員は、暗号資産と株式などの有価証券は特性が異なるものの、投資家保護の観点から一定の規制を合わせる必要があると指摘。

有価証券の金融商品取引法(金商法)の枠組みにそのまま暗号資産を入れることの適否を検討した上で、「新たなアセットクラスとして暗号資産を金商法の中に位置付ける」ことが投資家保護と市場育成、分離課税の実現に向けて「バランスがいい」との見解を示した。

西野太亮政務官は、金融庁が外部有識者との勉強会を重ね、現在は資金決済法で規制されている暗号資産について投資対象としての位置づけを検討中と回答。「金商法上の規制対象にするか否か」「アセットクラスをどう分類するか」など、現段階では方針はまったく固まっていないと答えた。

塩崎議員は「暗号資産が有価証券になると海外ではセキュリティとなり様々な制約になる可能性もある」と指摘し、自民党web3ワーキンググループの考えをまとめて来週にも公表する意向を示した。

暗号資産の税制改正をめぐる動き

暗号資産税制改正の動きは、2022年11月の自民党Web3PTによる20%申告分離課税を目指す緊急提言から本格化した。翌2023年4月、同PTは暗号資産取引の税制に関する提言を公開。6月には国税庁が暗号資産法人税ルールの一部改正を発表した。

2023年7月以降、日本ブロックチェーン協会(JBA)をはじめとする業界団体からの要望が相次いだ。2024年7月にはJBAが申告分離課税と損失繰越控除の整備を求める要望書を提出。同月末には日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)と日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)も2025年度税制改正要望書を提出している。

2024年8月、金融庁が暗号資産取引の課税上の取り扱いを検討すると表明した。10月には取引所や法律事務所から暗号資産ETF承認を含む税制改正の提言が行われた。11月には国民民主党の玉木雄一郎代表が与党に申告分離課税20%への移行を要望した。

同年12月、2025年度税制改正大綱には「暗号資産の税制見直し検討」が明記された。同月27日、金融庁は2025年度税制改正における同庁関係の主要項目を発表し、暗号資産取引の課税上の取扱いについて、「国民の投資対象となるべき金融資産として取り扱うかなどの観点を踏まえ、検討を行っていく必要がある」との方針を示した。

|文:栃山直樹
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