暗号資産の不正取引額、2024年に過去最高の400億ドルに:チェイナリシス

- 2024年に暗号資産を利用した400億ドル(約6兆円、1ドル150円換算)相当の不正取引が行われ、すべての犯罪を考慮すると推定額は510億ドル(約7兆6500億円)に上るとチェイナリシスは報告。
- 犯罪者は2021年にビットコインを使用していたが、現在は主にステーブルコインを使用。
- 2025年のデータには、バイビットでの15億ドル(約2250億円)のハッキング事件を受け、イーサリアムが含まれる可能性がある。
2024年は機関投資家による暗号資産(仮想通貨)の採用にとって節目となる年であったにもかかわらず、暗号資産犯罪が蔓延した。ブロックチェーンセキュリティ企業チェイナリシス(Chainalysis)のレポートによると、不正アドレスによって400億ドル(約6兆円、1ドル150円換算)が受け取られた。
この400億ドルという金額は、過去の犯罪に関する詳細が明らかになるにつれて、2025年を通じて増加すると推定されている。問題の違法な暗号資産は、詐欺・マルウェア・不正行為、ダークネットの活動に起因する可能性がある。
2023年の総額は461億ドル(約6兆9150億円)で終わったが、チェイナリシスは、2024年の総額はすべての犯罪を考慮するとそれを上回る513億ドル(約7兆6950億円)になると予想している。
また、この総額は、麻薬密売やマネーロンダリングなど、暗号資産が支払い手段として使用されるが暗号資産とは直接関係のない犯罪による収益は除外しているとレポートは付け加えた。
2024年にビットコイン(BTC)現物ETF(上場投資信託)が承認されたことで、機関投資家の取引量が急増し、業界全体の取引量に対する暗号資産犯罪の取引量の比率が低下した。暗号資産取引全体に占める不正取引の割合は、2023年は0.61%だったが、2024年には0.14%となった。
犯罪者は、不正資金の送金に関しても習慣を変えている。2021年には不正取引全体の約70%がビットコイン(BTC)に関係していたが、現在ではステーブルコインが主流となっている。ビットコインは現在、不正取引全体の約20%を占める一方、ステーブルコインは63%と大半を占めている。
プライバシー重視の暗号資産とされるモネロ(XMR)も、ダークネット市場で普及しているため、注目すべきものとしてリストに含まれている。アルトコインは、不正取引全体の約10%を占めている。
2月には、単独の暗号資産窃盗事件としては史上最大規模となる15億ドル(約2250億円)のハッキングがバイビット(Bybit)で発生したため、2025年の総額にはイーサリアム(ETH)が含まれる可能性がある点に留意する必要がある。
|翻訳・編集:廣瀬優香
|画像:
|原文:Illicit Crypto Volume in 2024 Hit a Record $40B in 2024: Chainalysis