アメリカ税務当局は、仮想通貨が税金逃れに使われないようにするために、ビットコインATMの利用者と運営者を調査している。
11月15日(現地時間)、ブルームバーグ・ロー(Bloomberg Law)は、米内国歳入庁(IRS)の捜査官はビットコインATM(いわゆるBTM)、仮想通貨キオスク、そしてそれらが脱税やマネーロンダリングといった違法行為を促進する可能性に焦点を当てていると伝えた。
IRSの犯罪捜査責任者ジョン・フォート(John Fort)氏は、IRSは他の法執行機関と協力してこの取り組みを進めているとブルームバーグに語った。
「もしあなたがビットコインATMに行き、現金を入れて、ビットコインを取り出したなら、明らかに我々はキオスクを使っている人物とその資金の出どころに潜在的に興味がある。だが、キオスクの運営者にも興味がある」
ビットコインATMの運営者のほとんどは、ユーザー認証手段を設け、合法的な企業によって運営されているが、犯罪組織によって運営されているケースもある。
今年の夏、ユーロポール(欧州刑事警察機構)とスペインの治安警察が率いる法執行機関は、ビットコインATMを使ってマネーロンダリングしていた犯罪組織を壊滅させ、ヨーロッパの規則にギャップがあることを明らかにしたと述べた。
海外の取引所も対象に
フォート氏によると、一般的にアメリカの事業者は法で義務づけられた顧客確認(KYC)およびユーザーのアンチマネーロンダリング認証を提供している。しかし、「これらの規制の遵守にはさまざまなレベルが適用されていると考えている」と同氏は述べた。そのため、IRSは運営者との「コンプライアンス問題」に焦点を当てている。
同氏はまた、IRSはこれまでに公的な訴訟を起こしたことはないが、仮想通貨に関してはあり得ると述べた。
IRSは捜査対象をさらに広げ始めてもいるようだ。
フォート氏は、IRSはアメリカを拠点とする仮想通貨取引所だけでなく、海外を拠点とする仮想通貨取引所も対象にしていると語った。
「アメリカで状況が厳しくなるにつれ、外国の取引所に人々を追い込んでいることを懸念している。我々は、そこにも焦点を合わせなければならない」
翻訳:新井朝子
編集:増田隆幸
写真:Shutterstock
原文:IRS Focusing on Potential Illicit Activities Facilitated by Bitcoin ATMs: Official