米財務長官、「市場の調整は健全かつ正常」と発言
  • アメリカのスコット・ベッセント財務長官は、資産市場の調整は健全かつ正常なものであり、市場への政策支援や「トランプ・プット」を実施するためのハードルが高いことを示していると述べた。
  • 長期的には、税制改革、規制緩和、エネルギー安全保障が株式市場の成長には不可欠であるとベッセント氏は説明した。

3月16日、アメリカのスコット・ベッセント(Scott Bessent)財務長官は、資産市場の調整は健全なものだと表現し、市場への待望の政策支援、いわゆる「トランプ・プット」が実施される前に、より大きな痛みに耐える必要があることを示唆した。

「私は35年間投資業務に携わってきたが、調整は健全であり、正常なことだ」と、ベッセント氏は3月16日、NBCの「Meet The Press」で述べたとブルームバーグが報じている。「私は市場について心配していない。長期的に見て、適切な税制、規制緩和、エネルギー安全保障を導入すれば、市場は素晴らしい結果を残すだろう」とベッセント氏は述べた。

ベッセント氏のコメントは、トランプ政権の政策、特に貿易関税に起因する火種はすぐに鎮火するだろうという一般的な考え方と相反する。ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領も最近、株式市場には注目していないと自身の立場を明らかにした

ウォール街のハイテク株指数であるナスダックとS&P 500は、先週、2月の高値から10%以上下落し、調整局面に入った。これは主に、トランプ大統領の関税が経済成長を鈍化させ、インフレを悪化させるのではないかという懸念によるものだ。

ビットコイン(BTC)も打撃を受け、CoinDesk Indicesのデータによると、1月に記録した10万9000ドル超えの高値から25%近く下落した。これは、ウォール街のリスク回避傾向をトレースし、トランプ大統領の戦略的暗号資産(仮想通貨)準備計画に基づく新たなBTC購入の不在に対する失望を消化したものだ。

リスク回避の動きにより、特に暗号資産コミュニティでは、アメリカ政府や連邦準備制度理事会(FRB)による政策支援への期待が高まっている。

しかし、ベッセント氏の意見では、何らかの行動が取られるまでには、より長い時間がかかるか、あるいはさらに大幅な市場の下落が必要になる可能性がある。財務長官は2月、トランプ政権は経済におけるほとんどの長期融資に影響を与える10年物国債の利回りの引き下げに焦点を当てていると述べた。

一方、FRBのジェローム・パウエル(Jerome Powell)議長らは3月初め、トランプ大統領の政策が経済に与える「正味の効果」を見極めるため、金利引き下げを急いでいないと強調した。

当局者は今週、金利見直しのために会合を開き、19日水曜日に決定が下される予定だ。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:U.S. Treasury Secretary Bessent Calls Corrections Normal, Suggesting a Higher Pain Threshold for the ‘Trump Put’