米国のフィンテック企業と暗号資産企業、トランプ政権下で銀行免許取得を目指す:ロイター

- 米国のフィンテック企業と暗号資産(仮想通貨)関連企業は、より有利な規制環境を予測し、銀行免許を申請するケースが増えている。
- 銀行免許を取得すれば、預金を受け入れ、借入コストを下げることができるが、より厳しい監督を受けることになる。
- 規制当局は歴史的に銀行の新規申請をほとんど認可していないが、最近の兆候はより合理化されたプロセスを示唆している。
米国のフィンテック企業と暗号資産関連企業は、暗号資産に友好的なトランプ政権下での事業拡大を目指し、州銀行や連邦銀行の認可を申請しており、業界幹部の認可取得に向けた議論や申請の動きが明らかに増加しているとロイターが報じている。
「関心はかなり高まっている。現在、複数の申請を進めている」と、法律事務所トラウトマン・ペッパー・ロック(Troutman Pepper Locke)のパートナー、アレクサンドラ・スタインバーグ・バラージ(Alexandra Steinberg Barrage)氏はロイターに語った。規制当局のトップの交代が進行していることから、企業は「慎重ながらも楽観的な姿勢」を取っているという。
銀行免許を取得すれば、規制当局の監視は厳しくなるが、借入コストを削減し、正当性を高めることができる。申請が認可されれば、預金を受け入れることで資本コストを下げることができるが、預金へのアクセスを巡っては暗号資産業界内では大きな議論を呼んでいる。
暗号資産関連企業は、規制監督の強化を理由に銀行になる道を選ばず、ブロックチェーンの理念に従ってさらに分散化し、銀行口座を持たない人や十分な金融サービスを受けられない人々のアクセス改善を目指す道を選んできた。
Paxos(パクソス)、Anchorage(アンカレッジ)、Protego(プロテゴ)などの暗号資産関連企業は、米通貨監督庁(OCC)を通じて連邦信託の認可を取得し、連邦規制下の暗号資産銀行となった。Kraken(クラーケン)とAvanti(アバンティ)はワイオミング州で特別目的預託機関(SPDI)の認可を取得し、州規制下の暗号資産銀行となっている。
歴史的に見て、新たな銀行免許の認可は稀だ。S&Pグローバルによると、2010年から2023年の間に規制当局が承認した件数は、2000年から2007年の年平均144件に比べ、年平均わずか5件だ。
低金利、収益性への懸念、規制上のハードルにより、申請件数は減少した。米連邦預金保険公社(FDIC)や米連邦準備制度理事会(FRB)は、手続きの合理化を支持する意向を示している。しかし、報告書によると、新銀行設立には依然として費用がかかり、2000万ドル(約29億9300万円、1ドル149円換算)から5000万ドル(約74億8900万円)に及ぶ。
|翻訳:CoinDesk JAPAN編集部
|編集:橋本祐樹
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|原文:Fintech and Crypto Firms Seek Bank Charters Under Trump Administration: Reuters