BTC、8万4000ドル付近を維持──FRBの金利据え置き発表後
  • 米連邦準備制度理事会(FRB)は予想通り金利を据え置いたが、インフレ見通しを引き上げる一方で成長見通しを大幅に引き下げた。
  • FRBは経済見通しの不透明感が増したことを理由に挙げた。
  • FRBはまた、4月1日からバランスシートの縮小(量的引き締め)のペースを緩めるとも述べた。

米連邦準備制度理事会(FRB)は3月19日、予想通りに基準となるFF金利のレンジを4.25%~4.50%に据え置いた。2024年末までの3回連続の利下げ後、2回連続の据え置きとなる。

しかし、FRBが四半期ごとに発表する経済予測では、経済成長への期待が急低下し、2025年のGDP成長率は12月時点の予想の2.1%増から1.7%増にとどまる見通しとなった。2026年と2027年の成長見通しも同様に下方修正された。

「経済見通しをめぐる不確実性が高まっている」とFRBは声明で述べているが、これはトランプ関税をめぐる混乱を指していると思われる。

成長率の鈍化に伴い、今年のコアPCEインフレ率は以前の2.5%の予想に対し、2.8%となる見通しだ。2026年と2027年のコアインフレ見通しは、それぞれ2.2%と2.0%に据え置かれた。

「ドットプロット」(FOMCメンバーによる金利の方向性を示す見通し)では、今年のFF金利は昨年12月の予想と同じ3.9%で終わるとされている。2026年と2027年のFF金利は以前の予想と変わらず、それぞれ3.4%と3.1%と予想されている。

FRBはまた、4月1日から保有する有価証券を再投資せずに満期償還させてバランスシートを縮小させる、いわゆる量的引き締めのペースを緩め始めると発表した。国債の減少幅は、これまでの250億ドルから50億ドルに縮小される。

ビットコイン(BTC)は金利据え置き発表直後の数分間は乱高下したが、発表前の8万4000ドルをわずかに上回る水準に対し、当記事執筆時点では8万3500ドルまで下落した。

米国株は堅調な上昇を続けており、10年米国債利回りは2ベーシスポイント低下の4.28%となっている。資産クラスの中で最近最も好調な金は、1オンスあたり3048ドルと過去最高値付近を維持している。

トランプ関税の脅威と、それがインフレや経済成長に及ぼす影響に対する懸念が高まり、投資家心理を圧迫したため、リスク資産はここ数週間下落していた。

さらに、FRBが12月と1月の会合でタカ派に転じたことで、短期的な金融緩和期待が後退し、暗号資産や株式には逆風となった。

|翻訳・編集:山口晶子
|画像:FRBのパウエル議長(Domenico Fornas / Shutterstock.com)
|原文:Fed Holds Rates Steady, Cuts Growth Outlook, Raises Inflation Forecast