トランプ大統領、暗号資産イベントでスピーチ──新たな政策は示さず
  • アメリカのドナルド・トランプ大統領は、暗号資産業界が金融において支配的な力になると述べた。
  • トランプ氏は事前収録されたビデオメッセージを通じ、ニューヨーク市で20日に開催された会議で発言した。

ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は20日、暗号資産(仮想通貨)のイベントにビデオメッセージを送り、自身の暗号資産支持のセンチメントを強調しつつ、暗号資産が経済成長を促進すると主張した。ただし、参加者が期待していた新しい政策については言及しなかった。

トランプ氏はマンハッタンで開催されたデジタル資産サミット(Digital Asset Summit)での短い事前収録されたスピーチで、暗号資産は「これ以上ないほど大きい」と述べた。発言は立ち見が出るほどの満員の聴衆に迎えられた。トランプ氏は暗号資産を称賛しており、暗号資産業界からの財政的支援や選挙支援をもたらした親善訪問を継続している。

トランプ氏は、「あなた方のような先駆者が銀行や決済のシステムを改善し、アメリカの消費者や企業にとってのプライバシー・安全性・セキュリティ・富の向上を促進することができるだろう」とし、「あなた方は経済成長の爆発を引き起こすだろう」と述べた。

トランプ氏は自身の政権がすでに押収されたビットコイン(BTC)の売却を停止し、業界リーダーと政府当局者を結集させていることに言及した。

トランプ氏は、「我々は前政権による暗号資産とビットコインへの規制戦争を終わらせている。そしてそれには違法なチョークポイント作戦(Operation Choke Point)の停止も含まれる。チョークポイント作戦は規制を超えている。はるかにだ。率直に言って恥ずべきものだった」と主張。「しかし2025年1月時点でそれらすべては終わった」と述べた。トランプ氏が暗号資産会議に出席したのは今回が2回目となる。前回は、2024年にナッシュビルで行われたビットコイン会議に選挙活動の一環で立ち寄った。

トランプ氏は1月20日に2期目として大統領に就任して以来、すでに2つのデジタル資産関連の大統領令に署名している。これらにより、デジタル資産のためのワーキンググループを創設し、過去に押収された資産を使用してビットコイン準備金を設立した。

20日のスピーチに先立って生じた憶測は、デバンキングや暗号資産税に対処するかどうかを中心としたもので、新しい大統領令の可能性も取りざたされていた。しかし最終的にはトランプ氏は新しい措置について発表せず、自身の政権がすでに行ったことにあらためて言及した。

トランプ氏は、「アメリカが暗号資産と次世代金融技術でいかに優位に立とうとしているかについてあなた方と話すことができるのは光栄だ」とし、「それは簡単ではないだろうが、我々は先行している」と述べた。

トランプ氏は過去1年間に暗号資産業界との関係を築いてきた。就任以来、大統領令を通じて、そして、ジョー・バイデン氏の前政権の下で講じられた措置を元に戻すための規制当局の取り組みを通じて業界への支持を示し続けている。

|翻訳・編集:林理南
|画像:Nikhilesh De
|原文:Crypto Will ‘Expand Dominance of U.S. Dollar,’ Trump Says