ビットコイン上のDeFi実現に向け、開発者はゼロ知識証明を検討──フォークによるリスクも

- ビットコインへDeFi(分散型金融)機能の追加を考えている開発者は、ブロックチェーン上でゼロ知識証明を有効にすることを検討している。
- これにはソフトウェアフォークが必要になる可能性があり、10年以上ビットコインに携わってきたエダン・ヤゴ(Edan Yago)氏はそれに「問題がある」と述べている。
- ビットコインOS(BitcoinOS)は、ヤゴ氏が「完全に本番環境に対応」と称するBitSNARKプロトコルをオープンソース化し、ロールアップを通じてゼロ知識証明を検証する手立てを提供している。
ブロックチェーンにおける分散型金融(DeFi)機能の拡張を目するビットコインの開発者は、ゼロ知識証明について検討している可能性が高い。これについては現在利用できる状態になく、導入にはいわゆるソフトフォーク、つまりソフトウェアの新バージョンが必要となる。
それは問題だと述べるのは、10年以上ビットコインに携わり、スマートコントラクトオペレーティングシステムのビットコインOS(BOS)の中心的なコントリビューターでもあるエダン・ヤゴ氏だ。
「ブロックチェーン、特に2兆ドル(約300兆円、1ドル=150円換算)相当の価値があるブロックチェーンをフォークすることは、心臓手術のようなものだ」と同氏はインタビューで CoinDesk に対して語った。「ハードフォークははるかに問題が多いのは明らかだが、どのような類のフォークを導入しても危険が伴うだろう。」
フォークとは、ブロックチェーンのコードに対する変更で、特定の時点で別のパスへの分岐が必要になるものを指す。フォークには「ソフト」フォーク (古いバージョンが新しいバージョンと引き続き交信できる) と「ハード」フォーク (古いバージョンに互換性がなくなり、すべてのユーザーがソフトウェアをアップグレードする必要がある) がある。
ゼロ知識証明とは
ゼロ知識証明は、ステートメントの有効性を証明する暗号化の手法であり、関連情報を一切公開しないことによってプライバシーを維持する。この機能はビットコインのソフトウェアでは利用できる状態にないが、提案されるOP_CAT や OP_CTV などの実装を通じて利用可能となる。ヤゴ氏は、開発者がいかなるフォークもなしにビットコイン上でそれらを有効にする方法を見つけることができるはずだと述べた。
「巧みなエンジニアリングによって、これを達成する方法が他にないことを証明する責任は開発者にある」とは同氏の言だ。
これは、BOSがBitSNARKを通じて達成したいと考えていることだ。BitSNARKは、オリジナルのブロックチェーンを拡張するために開発されているコンピューティングパラダイムファミリーの一部であるビットコインロールアッププロトコルである。これらは、2023年10月にロビン・ライナス(Robin Linus)氏がBitVMを導入した後に登場し、イーサリアム(Ethereum)のようなスマートコントラクトをビットコイン上で有効にする方法のフレームワークを提示した。
ビットコインOSは現在、ヤゴ氏が「本番環境に完全対応」だと称するBitSNARKプロトコルをオープンソース化しており、開発者はビットコイン上でゼロ知識検証にアクセスし、イーサリアム、ソラナ、カルダノなどの他のブロックチェーンに繋がることができる。
BitSNARKにより、開発者は大規模で複雑なプログラムを用いて、標準的なビットコイントランザクションで検証できるわずか300バイトによって計算結果を証明可能だ。これにより、クロスチェーンブリッジ、分散型取引所、ビットコインに裏付けされたステーブルコインの実現を通じて、BTCFi(ビットコイン上のDeFi)への道が開かれる可能性がある。
ビットコインに分散型金融を導入しようとするプロジェクトは数多くあるが、それらはブロックチェーンのソフトウェアにフォークを必要とするOP_CATまたはOP_CTVコードの使用に依存している。ヤゴ氏は、別の方法で同じ目的を実現たいと考えている。
|翻訳・編集:T.Minamoto
|画像:BitcoinOS
|原文:Bitcoin DeFi Expansion Faces Fork Dilemma as Developers Explore ZK Proofs