米フィデリティ、トークン化MMF参入──シェアクラス「OnChain」申請

- フィデリティ・インベストメンツは、米ドル建てMMFのブロックチェーン版を登録申請し、トークン化アセット競争に参入した。
- 申請書によると、このファンドはイーサリアムネットワークを使用しており、今後、他のブロックチェーンに拡大する可能性もある。規制当局の承認を条件に、5月30日に有効になる見込み。
- すでに複数の資産運用大手がトークン化MMF市場に参入しており、市場規模は昨年、500%増加した。
米資産運用会社フィデリティ・インベストメンツ(Fidelity Investments)は、米ドル建てのトークン化MMF(マネー・マーケット・ファンド)のブロックチェーン版を登録申請し、トークン化アセット競争に参入した。
米証券取引委員会(SEC)に3月21日に提出された申請によると、同社は「OnChain」というシェアクラス(種類株)を同社のMMF「Fidelity Treasury Digital Fund(FYHXX)」に登録し、ブロックチェーンを名義書換代理人(transfer agent)として使用することを目指している。FYHXXは昨年末にローンチされ、現金と米国債を保有している。
同MMFのOnChainクラスはイーサリアムネットワークを使用、今後、他のブロックチェーンにも拡大する可能性があると申請書類には記載されている。登録はSECの承認が必要であり、5月30日に有効となる見込みだ。
拡大するRWAトークン化市場
世界中の銀行や資産運用会社が、国債、クレジット、ファンドなどの伝統的金融商品をブロックチェーンに乗せる動きが活発化している。このプロセスはしばしば「RWA(現実資産)のトークン化」と呼ばれる。 運用と効率性の向上、そして迅速な24時間体制の決済を実現するために、このRWAのトークン化が活発化している。
すでに複数の大手資産運用会社がトークン化MMF市場に参入しており、運用資産残高5.8兆ドル(約870兆円、1ドル150円換算)を誇るフィデリティの参入は、その最新事例となる。
例えば、世界最大級の資産運用会社ブラックロック(BlackRock)はデジタル資産企業セキュリタイズ(Securitize)と提携し、2024年3月にトークン化MMF「BUIDL」をローンチした。rwa.xyzによると、すでに15億ドル(約2250億円)近い資産を運用する市場リーダーとなっている。
フランクリン・テンプルトン(Franklin Templeton)は、2021年にオンチェーンのマネーマーケット商品をデビューさせ、運用資産残高はとしては6億8900万ドルにのぼる。
トークン化MMF市場全体の運用資産残高は現在、rwa.xyzによると47.7億ドル(約7155億円)で、過去1年でほぼ500%増加した。
フィデリティは、ビットコインETF、イーサリアムETFの発行残高でも米国最大級を誇り、SoSoValueのデータによると、ビットコインETF「FBTC」の運用資産残高は165億ドル、イーサリアムETF「FETH」は7.8億ドルにのぼる。
|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
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|原文:Fidelity Files for OnChain U.S. Treasury Fund, Joining the Asset Tokenization Race