Japan Crypto Snapshot 2025年3月(vol.4)【bitbank Ventures】

直近の日本におけるビジネス動向、投資動向、規制動向をまとめます。

日本のビジネス動向

◾️JVCEA取引高および口座開設数

2025年1月までの過去12ヶ月のJVCEAの提供する取引高および口座数

  • 取引高は、2024年12月を一時的なピークとして、2025年1月には減少しています。
  • また、2025年1月の取引高は、2024年11月の水準をわずかに下回っています。
  • 利用者口座数は、前回に続き増加傾向にあります。
  • 2025年1月は取引高が前月から大きく落ち込んだ一方で、利用者口座数(特に稼働口座)は堅調に増加しています。

参照:https://jvcea.or.jp/cms/wp-content/themes/jvcea/images/pdf/statistics/202501-KOUKAI-01-FINAL.pdf

◾️ソニーの新ブロックチェーン「Soneium」が音楽NFTを公開 ─ Web3レーベルと提携

ソニーのブロックチェーンプラットフォーム「Soneium」は、Web3レーベル「Coop Records」と提携し、東京のプロデューサーNUU$HIの未発表楽曲を含む音楽NFTコレクションを公開しました。NFTはSoneiumのマーケットプレイス「Sonova」で0.000777 ETH(約2ドル)で販売され、999,999個が期間限定で提供されました。
参照:https://x.com/soneium/status/1887699795919225281

◾️トヨタ、ブロックチェーン技術を活用した初の社債「トヨタウォレットST債」を発行

トヨタファイナンシャルサービスは、トヨタグループとして初めてブロックチェーン技術を活用したセキュリティトークン社債(ST債)を発行しました。 このST債は、スマートフォン決済アプリ「TOYOTA Wallet」を通じて特典を提供し、個人投資家との結びつきを強化することを目的としています。発行総額は10億円、期間は1年で、1口10万円から投資可能となっていました。購入額に応じてTOYOTA Walletを通じた特典も用意されました。
参照:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000156589.html

◾️gumi、10億円規模のビットコイン購入を決定 ─ Babylonステーキングで収益化を目指す

株式会社gumiは、取締役会において約10億円相当のビットコイン購入を決議しました。 同社は、ビットコインを他のブロックチェーンのセキュリティ担保として活用するステーキングプロトコル「Babylon」のバリデータとして参画しており、今回の投資はノード運営事業の強化策の一環です。 これにより、ビットコインの価格上昇による収益、ステーキング報酬、バリデータ報酬の獲得を見込んでいます。
参照:https://ssl4.eir-parts.net/doc/3903/tdnet/2561440/00.pdf

◾️日本初、ステーブルコインUSDC対応のSlash Card、2025年前半に発行予定

SLASH VISION PTE. LTD.、株式会社オリエントコーポレーション、および株式会社アイキタスの3社は、ステーブルコインUSDC(USD Coin)を担保とした日本初のBNPL(後払い)サービス「Slash Card」の発行に向けて提携合意しました。
このカードは、暗号資産ウォレットを活用し、オンラインショップや実店舗でのUSDC支払いを可能にします。 発行は2025年前半を目指しています。
参照:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000065.000113938.html

◾️SBCメディカル、10億円のビットコイン購入を決定─湘南美容クリニック運営の米上場企業

湘南美容外科を運営するSBCメディカルグループホールディングスは、総額10億円規模のビットコイン購入を決定したと発表しました。
米国の暗号資産取引所コインベースを通じて、2025年5月までに段階的に取得する計画です。同社は、ビットコインの購入を「あらゆる経済環境の変動にも柔軟に対応できる強固な財務体制を築くための重要な一手」と位置付けています。
参照:https://ir.sbc-holdings.com/sbc-medical-group-holdings-announces-its-purchase-of-bitcoin/

◾️KDDIとGuildQBが提携、αU wallet対応のローンチパッドを3月開始

KDDI株式会社とWeb3ゲームプラットフォーム「GuildQB」を運営するSocial Finance Limitedは、業務提携契約を締結しました。この提携により、GuildQBのグローバルなWeb3プロジェクトネットワークとKDDIの「αU wallet」機能を組み合わせ、厳選された有望プロジェクトのNFTを「αU wallet」からシームレスに購入・体験できる環境を構築します。最初のプロジェクト公開は2025年3月以降を予定しています。
参照:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000046.000109511.html

◾️日立、デジタル資産取引のマネーロンダリング対策で12社と実証実験を開始

日立製作所は、暗号資産やステーブルコイン、NFTなどのデジタル資産取引におけるマネー・ローンダリング対策(AML)の実効性向上と共同化を目指し、関連事業者12社と連携して実証実験を開始しました。この実験では、各事業者が個別に行っているAML業務を集約し、システム・人材・情報を共有することで、効率化と精度向上を図ります。期間は2025年2月から4月までを予定しています。
参照:https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2025/02/0217.html

◾️TISとgC Labs、Web3コンサルティングサービス「NUE3」を共同提供開始

TISインテックグループのTIS株式会社と、gumiの連結子会社であるgC Labsは、Web3領域におけるコンサルティングサービス「NUE3(ヌエスリー)」の提供を開始しました。このサービスは、Web3事業の立ち上げを目指す企業に対し、市場調査、戦略立案、パートナーシップ構築支援、トークンエコノミクス設計、システム基盤開発、スマートコントラクト開発、セキュリティ診断などをワンストップで提供することを目的としています。
参照:https://www.tis.co.jp/news/2024/tis_news/20250214_1.html

◾️TISとクエストリー、デジタル証券を活用したアニメ映画製作資金調達で提携

TISインテックグループのTIS株式会社とクエストリー株式会社は、セキュリティトークンを活用したアニメ映画製作の資金調達に向けて業務提携しました。この取り組みは、投資家が直接アニメ制作に資金を提供できる新たな資金調達手段として、セキュリティトークンオファリング(STO)の導入を進めるものです。
これにより、従来の資金循環では制作現場まで十分に資金が行き渡らなかった国内アニメ制作を含むコンテンツ産業の課題解決を目指します。セキュリティトークンの発行は2025年度内を計画しており、実現すれば国内初の事例となります。
参照:https://www.tis.co.jp/news/2024/tis_news/20250228_1.html

◾️NTTデジタル、Figmentと提携しバリデーションビジネスを強化

NTTドコモの子会社であるNTTデジタルは、独立系ステーキングインフラプロバイダーのFigmentと提携し、バリデーションビジネスの強化を発表しました。
Figmentは、700以上の機関投資家に対し、150億ドル相当の資産をサポートするステーキングソリューションを提供しています。この提携により、NTTデジタルは2025年夏以降にノードプロバイダーおよびインデクサーサービスを開始する予定です。
参照:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000022.000136141.html

◾️博報堂キースリー、米DePINプロジェクト「DIMO」と提携し日本の自動車市場進出を支援

博報堂キースリーは、ブロックチェーン技術を活用して自動車産業の課題に取り組む米国のDePINプロジェクト「DIMO」と提携しました。この提携により、「DIMO Network」の日本市場への進出戦略や実証実験を推進し、日系自動車企業との協業を通じて新たな自動車体験の創造に取り組みます。
参照:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000039.000114677.html

投資動向

◾️TIS、double jump[.]tokyoに出資し、ステーブルコイン決済支援サービスを共同展開

TISインテックグループのTIS株式会社は、ブロックチェーン関連企業のdouble jump[.]tokyoに出資し、ステーブルコインを活用した決済サービスの共同展開を発表しました。このサービスは、スマートフォンやタブレット向けのアプリやウォレットの導入を支援し、店舗が消費者から直接ステーブルコインを受け取ることを可能にします。これにより、従来のキャッシュレス決済と比較して、加盟店手数料の削減や、訪日外国人旅行者の利便性向上が期待されています。
参照:https://www.tis.co.jp/news/2024/tis_news/20250221_1.html

規制動向

◾️金融庁、暗号資産を有価証券並みの「金融商品」として位置付ける検討を開始

金融庁は、暗号資産を有価証券に準ずる金融商品として位置付けるための検討に着手しました。2025年6月に制度改正の方向性を公表し、今秋以降の金融審議会での議論を経て、2026年の通常国会での法改正を目指しています。
この新制度では、ビットコイン現物ETFの解禁も視野に入れており、現行の最大55%の税率を金融所得課税と同じ20%に引き下げる可能性も検討されています。これにより、投資家保護と市場活性化の両立を図ることが期待されています。
参照:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB05DTK0V00C25A2000000/

◾️金融審議会、ステーブルコイン運用の柔軟化と暗号資産利用者保護強化を承認

金融庁は2月19日、金融審議会総会において「資金決済制度等に関するワーキング・グループ」の報告書を承認しました。この報告書では、暗号資産やステーブルコインを含む送金・決済サービス全般の規制見直しが提言されています。
具体的には、海外親会社の破綻時に国内ユーザー資産の国外流出を防ぐ仕組みの明文化、利用者資産を預からない「仲介業」の新設、ステーブルコインの裏付け資産として短期国債や定期預金の活用を可能にすることなどが含まれています。これらの改正により、利用者保護の強化とサービスの利便性向上が期待されています。
参照:https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/soukai/siryou/20250219.html

◾️金融庁、プロ向けトークン販売の規制整備方針を公表

金融庁は2月26日、暗号資産交換業者による「プロ向けトークン販売」に関する規制整備方針を公表しました。
「プロ向けトークン販売」とは、企業などが暗号資産の発行者となり、その暗号資産を売ったり、他の暗号資産と交換したりすることを暗号資産交換業者に依頼する取引を指します。この仕組みにより、企業は投資家から法定通貨や暗号資産を調達できます。
今回の改正案は、このような取引に関するルールを定めるものです。金融庁は3月27日まで意見を募集しています。
参照:https://www.fsa.go.jp/news/r6/sonota/20250226-2/01.pdf

◾️国税庁、2027年から暗号資産取引情報を海外当局と共有へ─脱税対策を強化

国税庁は、2027年から暗号資産の取引情報を海外の税務当局と共有する方針を固めました。これは、海外の交換業者を利用した課税逃れを防ぐための措置で、2026年分から国内業者に対し顧客情報の報告を義務付け、翌年から海外当局との情報交換を開始します。
報告に応じない業者には罰則が科される予定です。この取り組みにより、暗号資産取引における脱税や申告漏れの防止が期待されています。
参照:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE293UU0Z20C25A1000000/