欧州規則とデータ連携の行方、自動車業界の活用事例を共有:自民党ブロックチェーン推進議員連盟

自民党ブロックチェーン推進議員連盟の第28回会合が、3月26日に開催された。NTTコミュニケーションズ、NTTデータ、デンソーの3社が、自動車産業でのブロックチェーン活用事例や今後の展望について発表を行った。会合では、議員連盟会長の木原誠二衆議院議員が挨拶し、司会は事務局長の神田潤一衆議院議員が務めた。
欧州発「Catena-X」でのブロックチェーン活用
NTTコミュニケーションズ エバンジェリストの境野哲氏は、自動車産業を中心に欧州で広がる分散型データ連携基盤「Catena-X(カテナエックス)」について紹介した。

同基盤は企業間のデータ共有を促進する仕組みで、ドイツを起点にアメリカやアジアへと拡大している。主要技術としてはデータスペース(コネクタ技術)を採用しているが、データの改ざん防止やトレーサビリティ向上のため、「ブロックチェーンとの組み合わせも可能な仕組み」だと解説した。
境野氏はCatena-Xの特徴について、企業が自社データを手元に保持したまま、信頼できる相手にのみ開示するP2P(ピア・ツー・ピア)型のエコシステムと説明。脱炭素や資源循環型社会の実現に向けた取り組みに活用されているが、サプライチェーン内のCO2排出量の追跡やバッテリーのリユース・リサイクル管理といった分野でブロックチェーン技術の導入が進んでいる。
Catena-Xには、日本企業からもNTTデータやデンソー、旭化成、富士通などが参加し、実証実験が進められている。
データスペース×ブロックチェーン
NTTデータ 第三公共事業本部デジタルプラットフォーム事業部長の天川浩一氏は、国内の自動車業界で進められている「バッテリートレーサビリティプラットフォーム」について発表した。

このプラットフォームは欧州電池規則に対応するため構築され、境野氏の発表でも触れられたデータスペースを使ったユースケースの一つ。例えば電気自動車(EV)を欧州に輸出する際、搭載されるバッテリーの製造過程でのCO2排出量(カーボンフットプリント)を開示することが義務付けられており、日本の自動車業界もこれに対応する仕組みを整えている。
バッテリーの原材料調達から製造、最終製品に至るまでのCO2排出量を追跡・集計するには、サプライチェーン全体の協力が不可欠となる。しかし、企業ごとに開示できるデータ範囲が異なるため、ブロックチェーンを活用し、データの暗号化や改ざん防止、アクセス制御を実現。A社とB社の間ではデータ共有を許可しつつ、A社とC社の間では制限を設けるといった管理が可能となる。天川氏は「各社のトレードシークレット(企業秘密)を保護しながら、必要な情報だけ伝達できる仕組みを構築している」と説明した。
さらに、ブロックチェーンの別の活用例として、登場プレーヤーが多い貿易業務のデジタル化を実現した「トレードワークス(TradeWaltz)」を紹介。P2Pやハッシュチェーンの活用により、紙ベースの業務削減と効率化に成功していると述べた。
QRコードとブロックチェーンの親和性
デンソー 社会イノベーション事業開発統括部統括部長執行幹部の加藤充氏は、自動車産業でのデータ連携の課題とブロックチェーン技術を活用したデータ主権の確立をテーマに発表した。

加藤氏は、企業間でのデータ秘匿性の確保や改ざん防止の重要性を強調。デンソーウェーブ(同社子会社)が1994年に開発したQRコードとブロックチェーンの親和性が高いことに触れ、自動車バッテリーの原材料や利用状況を管理するバッテリーパスポートシステムを開発したと紹介。社会課題である資源循環の最適化にも貢献していきたいと述べた。
さらに、欧州のCatena-X、米国のMOBI、中国のCATARCといったグローバルなデータ連携の取り組みに参画していることを紹介。日本の競争力を維持するには、データ主権の確保が不可欠であり、特にASEANとの連携促進が鍵になると解説した。

各社の発表後、出席していた鬼木誠議員や川崎ひでと議員からは、ブロックチェーンやWeb3といった新しい概念を中小企業にどのように伝えていくべきかなどについて質問が上がった。また、グローバルな利活用に適したブロックチェーンの種類についても質問が飛び、誰でも参加できるパブリック型が適しているのか、特定の企業やグループが管理するコンソーシアム型が望ましいのかといった点について意見が交わされた。
|文・撮影:橋本祐樹
|トップ画像:国際的な分散型データ連携基盤「Catena-X」について解説した境野氏