ノーザン・トラスト、ステーブルコイン発行元のヘイセンにカストディ・サービスを提供
  • ノーザン・トラストは、貿易金融に特化したステーブルコイン発行者であるヘイセンにカストディおよびキャッシュ・マネジメント・サービスを提供する。
  • ヘイセンは、貿易金融業界におけるノンバンクの融資機関にステーブルコインに基づくソリューションを提供している。

3月27日に発表されたプレスリリースによると、伝統的金融の大手であるノーザン・トラスト・(Northern Trust)は、貿易金融に焦点を当てたステーブルコイン発行元であるヘイセン(Haycen)に対し、カストディおよびキャッシュ・マネジメント・サービスを提供する。

ノーザン・トラスト・アセット・サービシング(Northern Trust Asset Servicing)は、ヘイセンの顧客の法定通貨預金に対するグローバル・カストディ・サービスを提供し、ノーザン・トラスト・アセット・マネジメント(Northern Trust Asset Management)はキャッシュ・スイープ・サービスを提供する。

ステーブルコインとは、米ドルやゴールド(金)などの別の資産の価値に連動する暗号資産(仮想通貨)だ。暗号資産市場で重要な役割を果たしており、国際送金にも使用されている。

ヘイセンはイギリスおよびヨーロッパで事業を展開する貿易金融デジタル決済プロバイダーだ。同社は、グローバル貿易における非銀行系の融資機関向けに、ステーブルコインをベースとしたホールセール・ソリューションを提供している。

貿易金融は、近代化が急務となっているグローバルな商取引の重要な一部だ。この業界は依然として手作業のワークフローに依存しており、関わる銀行や企業にとってはコストがかさむ可能性がある。

また、アクセスも問題となる。既存のシステムのコストや複雑さにより、小規模な企業は貿易金融へのアクセスが妨げられている。そこで、ステーブルコインが役に立つ。

ヘイセンは、ステーブルコインを通じて米ドルの利用可能性を高め、即時決済と組み合わせることで、国境を越えた送金に伴う従来の摩擦を軽減する。

「グローバルな貿易は経済において非常に重要な役割を果たしており、ステーブルコインソリューションを提供する当社にとって素晴らしい市場だ。商品やサービスのグローバルな流れは障害のない流動性に依存しており、規制の変更が相次いだことで銀行は貿易融資業務を縮小せざるを得なくなった」と、ヘイセンの創設者兼CEOであるルーク・サリー(Luke Sully)氏は電子メールでコメントした。

「これにより、年間2兆ドル(約300兆円、1ドル=150円換算)の貿易取引(その95%は米ドル建て)を新たな方法で動かそうとする非銀行系のプレーヤーにとって、市場に隙間が生じた」とサリー氏は述べた。

また、「これらの参加者はステーブルコインを使用することで、利回りの向上と即時かつ無料のグローバル決済の確実性を組み合わせることができる」と付け加えた。

ヘイセンは、機関投資家向けステーブルコインの開発にイギリス政府から資金提供を受けている。

このタイプの暗号資産は今週、話題をさらっている。

フィデリティ・インベストメンツ(Fidelity Investments)は独自のステーブルコインの開発が最終段階にあると、3月26日にフィナンシャル・タイムズが報じた。

また、アメリカのドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が支持する分散型金融(DeFi)プロトコルであるワールド・リバティ・ファイナンシャル(World Liberty Financial)も、ステーブルコインの発行計画を明らかにした。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Northern Trust to Provide Custody, Cash Management Services for Stablecoin Issuer Haycen