ドージコイン、XRPが7%下落──トランプ関税の脅威が市場に打撃

- アジア市場の取引開始早々、DOGE、ETH、XRPなどの主要暗号通貨は5%以上下落した。その一方で、TONは5%上昇した。
- 122億ドル相当のビットコインオプションが期限切れを迎える予定であり、アメリカの個人消費支出(PCE)の数値がまもなく発表されることから、市場のセンチメントに影響が出る可能性がある。
- 主要経済国の金融政策や継続中の貿易戦争に対する世界市場の敏感な反応により、経済不安ヘッジとしてのビットコインへの資本配分が減少する可能性がある。
ドージコイン(DOGE)、イーサリアム(ETH)、エックス・アール・ピー(XRP)は、トレーダーが利益確定の売りを入れたため、アジア時間初めの取引で5%以上下落した。トレーダーは、3月28日に発表予定のアメリカの個人消費支出(PCE)の数値に注目している。
幅広い暗号資産(仮想通貨)を対象とするCoinDesk 20 指数(CD20)は4.5%の下落を示し、中でもDOGEが7%の下落でリードした。 唯一上昇したトークンは、トンコイン(TON)で、過去24時間で5%上昇した。
ゴールド(金)は28日、アジア市場の朝方に3109ドルに至る急騰を見せ、3月初旬からの堅調な上昇を継続し、過去最高値を更新した。ブルームバーグによると、MSCIワールド指数は1カ月間で最長の連敗を記録し、アジア株式の地域別指標は2月28日以来最大の落ち込みを見せた。
28日には、122億ドル(約1兆8300億円、1ドル=150円換算)相当のビットコイン(BTC)オプションが、8万5000ドルで大きな損失を伴って期限切れとなる。
「現物は横ばいで推移しており、建玉(OI)は引き続き下落している。これは市場に短期的な楽観論がほとんどないことを示している」と、シンガポールを拠点とするQCPキャピタル(QCP Capital)のトレーダーはテレグラムのブロードキャストで述べた。「個人消費支出(PCE)指数のデータが発表される予定であり、市場はエスカレートする貿易戦争におけるトランプ大統領の次の動きが明確になるのを待っているため、短期的な上昇は抑制されたままであると我々は考えている」
PCEは、幅広い消費支出におけるインフレ(またはデフレ)を捉え、消費者の行動の変化を反映する。
毎月発表されるPCEは、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)の金利決定に影響を与えると言われている。PCEの数値が高いことはインフレの兆候であり、景気を冷ますために金利引き上げを促す可能性がある。そうなると、投資家がより安全な資産を好むようになり、ビットコイン価格に下方圧力がかかる可能性がある。
逆に、PCEが低調な場合は、インフレが抑制されていることを示唆しており、金利引き下げや安定政策につながり、流動性を高め、投機的資産またはインフレヘッジとしてのビットコインの価格を支える可能性がある。
3月28日の発表は、市場心理に影響を与える可能性がある。ビットコインの反応は、データがFRBにどのような影響を与えるかによって決まる。トレーダーがポジションを調整する際に、しばしばボラティリティが発生する。
カナダと欧州連合(EU)が共謀し、その政策がアメリカの経済活動に影響を与えるようなことがあれば、両国に対してより厳しい関税を課す可能性があるとトランプ大統領が警告したため、27日から市場は重苦しい雰囲気に包まれている。これを受けて、カナダのマーク・カーニー(Mark Carney)首相は27日の夜、アメリカが「もはや信頼できるパートナーではない」として、同国は他の国々とより活発に貿易を行うために迅速に動くと述べた。
「世界の市場は、特にアメリカのような主要経済国が定める金融政策に非常に敏感だ」と、暗号資産取引所Paybisの創業者兼CEOのイノケンティ・アイザース(Innokenty Isers)氏はテレグラムのメッセージでCoinDeskに語った。「ボラティリティが比較的大きいことから、リスク回避型の投資家はビットコインではなく、代替的なインフレヘッジを好むかもしれない」。
「貿易戦争が長期化し、インフレの可能性が高まることを考慮すると、経済不安に対するヘッジ手段としてのBTCへの資本配分は減少するかもしれない」とアイザース氏は警告した。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Dogecoin, XRP Sink 7% as Trump Tariffs Threats Dent Markets; Bitcoin Options Expiry Looms