ビットコイン、8万4000ドル割れ──暗号資産全体で時価総額約17兆円減

- 暗号資産(仮想通貨)市場は3月28日に急落し、今週の値上がり分を帳消しにした。ビットコイン(BTC)は8万3800ドルまで下落し、CoinDesk 20 Indexは5.7%下落。特に大きく下げたのは、アバランチ(AVAX)、ニア(NEAR)、ポリゴン(POL)、ユニスワップ(UNI)、スイ(SUI)であった。
- 暗号資産の下落は、経済データの悪化による米国株の売りと重なり、暗号資産関連の銘柄も大幅に値下がりした。
- ビットコインは本日の下落でCMEギャップ(CME先物の金曜日の終値と月曜日の始値の差)を埋めたが、マクロ経済の苦境が続くと、暗号資産市場全体の重荷になる可能性がある。
暗号資産市場は3月28日、大幅に下落し、今週前半の上昇分がほぼすべて帳消しになったため、暗号資産の回復が続くとの期待は消えた。
ビットコインは前日には8万8000ドル弱で推移していたが、8万3800ドルまで急落し、過去24時間では3.8%下落している。
広範な暗号資産市場のベンチマークであるCoinDesk 20 Indexは5.7%下落し、アバランチ、ポリゴン、ニア、ユニスワップは同期間中に10%近く値下がりした。TradingViewのデータによると、28日の急落によって暗号資産の時価総額は1150億ドル(約17兆円、1ドル=150円換算)も減少した。

イーサリアム(ETH)は6%以上下落し、ビットコインに対する下落トレンドを拡大させ、2020年5月以来、ビットコインに対する相対価格が最も安くなった。
弱気トレンドを浮き彫りにするように、Farside Investorsのデータによると、イーサリアム現物ETF(上場投資信託)は3月上旬以降、純資金流入が見られていない。一方、ビットコイン現物ETFは過去2週間で10億ドル以上の資金流入を記録した。
暗号資産の低迷は、経済指標の悪化を受けて米国株が日中売られたことと重なり、S&P500は2%、ハイテク株比率の高いナスダックは2.8%下落した。暗号資産関連銘柄も大きく値下がりした。ビットコイン保有企業最大手のストラテジー(Strategy)株は10%安、暗号資産取引所のコインベース(Coinbase)株も7.7%下落した。
28日朝発表された2月の米PCE(個人消費支出)価格指数は前年比2.5%上昇、コアインフレは2.8%と予想をやや上回った。個人消費は0.4%増と小幅な伸びを示したが、インフレ調整後の数値の伸びは最小限で、経済成長に逆風となる可能性を示唆した。
アトランタ連邦準備銀行のGDPNowモデルは現在、第1四半期の米国経済が2.8%縮小すると予測している。金の輸出入を調整するとマイナス0.5%となり、スタグフレーション懸念に拍車をかけている。
来週、トランプ政権が言うところの「解放の日」と呼ばれる4月2日に、広範な関税が発動されることも、市場全体で投資家の懸念をさらに強めた。
CMEギャップを埋めただけか、それとももう一段の下げか?
ビットコインは最近、ナスダックと密接に相関しているため、米国株式がさらなる下落に転じた場合、より広範な暗号資産市場の重荷となる可能性がある。
しかし、より楽観的な見方をすれば、28日の下落によって、ビットコインはシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)先物市場における月曜日の始値と前週の終値の間の約8万4000~8万5000ドルの価格差を埋めた可能性がある。
歴史的にビットコインは、同様のCMEギャップの価格帯を再訪する傾向があり、8万4000ドルへの下落の可能性があると、コインデスクのシニアアナリスト、ジェームズ・ヴァン・ストラテン(James Van Straten)は今週初めに指摘していた。
LMAXグループの市場ストラテジスト、ジョエル・クルーガー(Joel Kruger)氏は、「現段階では、2025年の底をすでに打ったかどうかを判断するのは難しい」と述べた。
現在進行中の調整にもかかわらず、米国における暗号資産に優しい政策や、より多くの伝統的金融会社が業界に参入したり、暗号資産関連の商品やサービスの提供を拡大したりするなど、いくつかの肯定的な傾向があることをクルーガー氏は指摘した。
「さらなる後退が見られたとしても、7万~7万5000ドルのエリアまでは極めてしっかりと支えられるはずだ」と、クルーガー氏は付け加えた。
|翻訳・編集:山口晶子
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|原文:Bitcoin Plunges Below $84K after $115B Sell-Off Wipes Out Weekly Gains