三井住友FG、ステーブルコインを米2社およびTISと開発へ:日経報じる

三井住友フィナンシャルグループ(FG)がステーブルコインを米企業と共同開発すると日経新聞が伝えた。報道によると、アバラボ、ファイアブロックスの2社と連携するという。
アバラボは、レイヤー1ブロックチェーン「アバランチ(Avalanche)」の開発企業。アバランチ・ブロックチェーンは、いわゆる「イーサリアム・キラー」の1つで「サブネット」と呼ばれるカスタマイズ可能な独自チェーンを構築できることから企業での採用が進んでいる。
ファイアブロックスは、ウォレット、広く言えば、暗号資産カストディ(管理・保管)サービスのグローバル企業。これまでにBNYメロン、BNPパリバ、オーストラリアのANZ銀行などの大手金融機関にサービスを提供している。株取引アプリのロビンフッドやフィンテック企業のレボリュートも顧客だ。
開発には、国内システムインテグレーター大手のTISも加わり、2025年度下期に実証実験、26年度の発行を検討するという。
「USDC」国内に登場
ステーブルコインは広義では、法定通貨などの資産を裏付けとし、価格を安定させたデジタル通貨を言う。裏付け資産には法定通貨、暗号資産(仮想通貨)、あるいは金などがあるが、代表的なものは「米ドル」を裏付け資産としたステーブルコインだ。
日本にも「ステーブルコイン」という名称の明確な定義は存在しないが、2023年6月に施行された改正資金決済法で「電子決済手段」と定義されたものをステーブルコインと呼ぶことが一般的だ。
日本では3月26日に米サークル社が発行するステーブルコイン「USDC」の一般向け取引サービスが始まったばかり。さらに「国産」ステーブルコインの登場もまもなく、と期待されている。
当面は暗号資産取引での使用が中心になると見られているが、米サークルは3月25日、東京で記者会見を行い、企業間決済、海外とのクロスボーダー決済などでの需要拡大への期待を語った。
また国産ステーブルコインの発行基盤を目指すProgmat(プログマ)は、各社との複数の取り組みを発表しているほか、SWIFT(国際銀行間通信協会)を活用したステーブルコインでの国際送金プロジェクト「Project Pax」を開始している。
メガバンク参入のインパクト
三井住友FGの取り組みの詳細は現時点では不明だ。同行に取材を試みているが、現状、報道以上の情報は出てこないようだ。
今回「ステーブルコイン」と報じられたが、改正資金決済法で「1号電子決済手段」に分類される、いわゆる「銀行型ステーブルコイン」として発行するのか(現状、銀行型ステーブルコインの発行には、まだクリアすべきハードルが残されていると言われている)、あるいは改正資金決済法が定める電子決済手段ではなく、JPモルガンや日本ではDCJPYや北國銀行が取り組む「預金トークン(トークン化預金)」なのか。
また、パブリックチェーン上で発行する場合、イーサリアムではなく、アバランチを使うのかなど、気になることは多い。
とはいえ、日本を代表するメガバンクの1つがステーブルコインの開発に乗り出したことのインパクトは大きい。日本におけるステーブルコインの普及・拡大に向けた大きな一歩と言えるだろう。
|文:増田隆幸
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