ゴールドマン・サックスはリクスヘッジに日本円を推奨──ビットコインは1%下落
  • ビットコインは、重要なトレンドラインの抵抗線を突破できず、日本円に対して1%下落した。
  • ゴールドマン・サックスは、リスク回避の環境下で歴史的に強さを発揮してきたことを理由に、アメリカの景気後退リスクに対するヘッジとして日本円を推奨している。
  • 関税の不透明性は景気後退への懸念を高め、株式市場と暗号資産市場の両方に潜在的な影響を及ぼす可能性がある。

ビットコインと日本円のペア(BTC/JPY)は4月2日、ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)がアメリカの関税引き上げや景気後退リスクに対する有力なヘッジとして「リスク回避の円」を挙げたことを受け、主要なトレンドラインの抵抗線で後退した。

チャート作成プラットフォームTradingViewのデータによると、日本を拠点とするビットフライヤー(bitFlyer)でのBTC/JPYの取引は、1月20日に記録した最高値から引かれたトレンドラインを突破できず、1%下落した。

BTCの米ドル建て価格も同様の下落となった。一方、2日にドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が世界的な貿易戦争の引き金となる可能性がある、広範囲にわたる新たな「解放の日(Liberation Day)」の報復関税を発動する予定であることを受け、アジアの株式指数とアメリカの株式先物は軟調に推移した。

この関税の不透明性により、JPモルガン(JPMorgan)ゴールドマン・サックスを含む複数の投資銀行は、アメリカの景気後退や四半期連続の成長率縮小の可能性が高まったと予測している。

一部の暗号資産(仮想通貨)の専門家は、関税を原因とする経済の急落が現実のものとなった場合、投資家がビットコインを安全資産として扱うことを予想している。しかし、ゴールドマンは、長らく安全資産として好まれてきた日本円が、アメリカのリスクに対する最善のヘッジ手段であると見ている。

「アメリカの景気後退の可能性が高まった場合、日本円は投資家にとって最善の通貨ヘッジ手段となる」と、ゴールドマン・サックスのグローバル為替、金利、新興市場戦略部門の責任者であるカマクシャ・トリベディ(Kamakshya Trivedi)氏は4月1日の夜遅く、ブルームバーグの取材に対して述べた

さらにトリベディ氏は、日本円はアメリカの労働市場の低迷に対する「非常に良いヘッジ」でもあり、アメリカの実質金利(インフレ調整後の利回り)と米国株が同時に下落する際に最も効果を発揮する傾向にあると付け加えた。

[BTC/JPYが下降トレンドラインに押し付けられている。:TradingView/CoinDesk]

暗号資産市場の参加者の間では、BTCは広くデジタルゴールドまたは避難先資産と見なされているが、暗号資産は歴史的にテクノロジー株と連動して動いてきた。つまり、ウォール街の関税主導のリスク回避は暗号資産市場にも波及する可能性がある。

さらに、円高は、安価な円建てで調達した資金によるリスクオンでの強気な取引の解消を促し、金融市場全体のリスク回避傾向に拍車をかける可能性がある。暗号資産市場では、昨年8月初旬に円キャリートレードが解消され、株価とBTCの両方が下落した。この期間中、ビットコインは1週間で約6万5000ドルから5万ドルに急落した。

ゴールドマンは、今年、米ドルに対して日本円が140円前半まで上昇すると予想している。記事の締め切り時点で、米ドル/円のペアは1ドル=149.77円で取引されていた。為替レートは、アメリカと日本の10年物国債の利回り差に密接に追随することが知られている。

後者は最近、2022年8月以来の最低水準まで下落し、円高の兆しを見せている。

[日米10年国債利回り差。:TradingView/CoinDesk]

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin Slides 1% as Goldman Picks Yen Over BTC Amid Tariff Fears