三菱UFJ信託銀行、円連動型ステーブルコイン開発完了──「電子決済手段」として初の発行か:報道
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栃山直樹

三菱UFJ信託銀行が、法定通貨と連動するステーブルコインの発行準備を最終段階まで進めていることを、読売新聞が4月2日に報じた。
窪田博新社長が同紙のインタビューで、同社傘下のデジタル基盤会社「プログマ」と連携し、昨年末にシステム開発を完了したと述べている。
当初はカーボンクレジット取引での活用を予定し、将来的に貿易決済などへの展開も視野に入れているという。
このステーブルコインは資金決済法で定義される「電子決済手段」として初の発行となる見通し。業界では、JPYC社も資金移動業ライセンス取得に向けた最終段階にあり、今夏にも円連動型ステーブルコインの発行開始を予定している。
窪田社長は「コストが安くて決済も早い。画期的で、社会課題解決に資するものだ」と評価。ブロックチェーン技術を利用することで、複数の銀行を介する従来の越境決済と比較して手数料負担を大幅に削減できるとしている。
また同社は、ステーブルコインやスタートアップとの協業などの新規事業領域で2034年までに粗利300億円を目指す方針も示した。窪田社長は「社会のニーズに応えることが大きなビジネスにつながる。新規事業を続けないと会社の存在意義がない」と言及している。
暗号資産(仮想通貨)取引所のSBI VCトレードは、3月26日より国内初の米ドル連動型ステーブルコイン「USDC」の一般向けサービスを開始。米ドル連動型の取引が始まり、日本円連動型ステーブルコインの発行も控え、国内における新たな決済インフラ時代のカウントダウンに入っている。
|文:栃山直樹
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