株主優待のトークン化、触覚データ×Web3──東大生らが示した革新性:バイナンスジャパン春の特別イベント

暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)の日本法人バイナンスジャパン(Binance Japan)が都内で開催した暗号資産の未来を学ぶ体験型イベント「Spring College 2025」の一環で4月4日、「未来を創る頭脳:本郷Web3バレーによる東大Ideathonブロックチェーン優勝者に学ぶテクノロジーの可能性」と題したパネルセッションが開かれた。

この日は、一般社団法人学生Web3連合が3月3日から9日にかけて実施した学生向けのWeb3.0アイディアソン「WEB3 IDEATHON for Students 2025」で、最優秀賞を獲得した法政大学の藍光祐氏と優秀賞を受賞した東京大学の加藤滉一氏が登壇し、事業アイデアを発表した。アイディアソンには国内外の大学から63人のエントリーがあり、その後選抜された30人がメンターによる指導などを経て、事業アイデアを競った。

同連合共同代表を務める東京大学の渋谷多竜響氏、副代表を務める慶應義塾大学の佐南輝氏も登壇し、冒頭で挨拶を行った。

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〈学生Web3連合共同代表の渋谷氏(左)と副代表の佐南氏〉

その後、藍氏と加藤氏がアイディアソンで発表した事業内容について紹介した。

株主優待の電子化と透明化を実現

オンラインで登壇した藍氏は、最優秀賞に輝いた株主優待の電子化とトークン化による二次流通の透明化を目指すRWA(リアルワールドアセット)プラットフォーム「PerkFi(パークファイ)」について紹介した。

〈PerkFiについて紹介した藍氏(画面右下)〉

現行の株主優待制度には、紙による管理コストの高さや償還率の不透明さ、流動性の低さなどの課題があると指摘。企業側も利用実態を把握しづらいという。藍氏は、優待情報をブロックチェーン上で一元管理し、トークン化することで、移転・利用・リセールといった流通過程をすべて追跡可能にすると説明した。

利用者には資産価値を明確に示し、企業側にはマーケティングなどへの活用を可能にする新しい仕組みだという。現在は、2025年9月の正式リリースを目標に開発や資金調達を進めていると明かした。

触覚技術×Web3というニッチな掛け算

優秀賞を獲得した加藤氏は、自身が大学院で研究する触覚技術とWeb3を組み合わせた「DeSci(分散型科学)Platform」を紹介した。

加藤氏は、物体に触れた際の感覚や手触りといった触覚が次世代の中核技術になり得ると説明。2023年に30億ドルだった市場規模が、2030年には73億ドルに達するとの予測を紹介し、「第二のAppleのような企業が生まれる可能性がある分野」と触覚市場の成長性を強調した。

〈触覚データの蓄積などにはソラナエコシステムを使うと説明した加藤氏〉

一方で、視覚や聴覚に比べて触覚は、被験者データや研究資金が不足している分野と指摘。こうした課題に対し加藤氏は、被験者と研究機関の橋渡しとなるプラットフォームを構築し、触覚研究の発展を後押ししたいと語った。トークン報酬によって協力者を募り、大学や企業は提供されたデータに応じて利用料を支払う仕組みを構想している。

〈発表後には、来場者からも藍氏と加藤氏に質問が飛んだ〉

学校をコンセプトにした会場

Spring College 2025の会場となった渋谷のイベントスペースは、バイナンスのブランドカラーである黄色を基調とした装飾が施され、来場者の目を引いていた。新入生の気持ちで暗号資産を学ぼうというコンセプトのもと、本人確認(KYC)や現物取引所と販売所の違いについて解説する教室のロッカーを模した展示ブースも設置されていた。

〈バイナンスのブランドカラーで彩られた渋谷の会場〉
〈教室のロッカーをモチーフにした展示ブースもあった〉

|文:橋本祐樹
|トップ画像:開会挨拶した学生Web3連合の渋谷共同代表(写真中央、本郷Web3バレー三代目代表も務める)