市場の急落はFRBへの圧力になる?──先物市場では年内5回の利下げを織り込み済み
  • ビットコインとS&P 500先物は4月7日に5%以上下落し、後者は過去最悪の3日間のパフォーマンスに近づき、総損失は15%に迫っている。
  • クレジット市場は現在、2025年に最大5回の利下げを織り込んでおり、FRBの政策に対する期待が劇的に変化していることを示している。

金融市場はメルトダウン状態にあり、クレジット市場では、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)がまもなく支援策を打ち出すのではないかという期待が一段と高まっている。

時価総額でトップの暗号資産(仮想通貨)、ビットコイン(BTC)は8%安の7万5800ドルで取引され、米国株は過去最悪の3日間のパフォーマンスとなる見通しで、S&P 500先物は4月7日だけで約5%下落し、全体では15%近い損失となっている。

FRBは金融危機の際には、金利引き下げやその他の刺激策で介入してきた前例がある。そのため、流動性支援に慣れてしまったトレーダーたちは、今回もFRBが同様の対応を取ると見込んでいる。

シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のFedWatchツールによると、フェデラルファンド先物市場では、2025年に5回の金利引き下げが織り込まれている。5月7日に予定されている次回会合では、25ベーシスポイントの利下げの可能性が61%あり、目標金利は4.25~4.50%に引き下げられると見られている。年末までには、フェデラルファンド金利が3.00~3.25%まで低下すると市場では予想している。

リスク回避の動きと景気後退懸念、そしてFRBの利下げ観測が相まって、トランプ政権が望む通りの展開となっている。すなわち、米国債利回りの急落だ。アメリカ経済のベンチマークとなる重要な10年物利回りは、3.923%まで低下している。

一般的に考えられているのは、利回りが低下すれば、今後12カ月間に財務省が数兆ドルの借金を借り換えるのが容易になるというものだ。これが、トランプ政権が資産市場の急落に対して寛容である理由かもしれない。

この借換えの緊急性は、ジャネット・イエレン(Janet Yellen)前財務長官が長期国債の発行から短期国債の発行へと政策を転換したことに起因する。2023年以降、財政赤字の約3分の2は、利率が5%前後の短期国債の発行によって賄われてきた。これは一時的に流動性を支えてきたかもしれないが、高金利の短期債務という時限爆弾を生み出し、今、借換えが必要になっている。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:バーチャル会見で発言するパウエルFRB議長。(Federal Reserve, modified by CoinDesk)
|原文:Markets in Freefall: Is the Credit Market Forcing the Fed’s Hand?