Progmatと農中信託銀行、あおぞら銀行、ケネディクスが提携──日本発 “ナショナルインフラ” を世界へ

セキュリティ・トークンやステーブルコインなど、デジタル資産の発行基盤を手がけるProgmat(プログマ)が新たに3社から資金調達を行った。

Progmat、農中信託銀行、あおぞら銀行、ケネディクスは新たに資本業務提携し、Progmatへの出資を実施したと4月9日に発表した。

Progmat基盤のグローバル展開を含めて、利活用範囲を拡大。すでに3000億円を超えた国内の「金融×トークン化」市場、いわゆるセキュリティ・トークン(デジタル証券)市場を “第2幕” へと進めるという。

調達金額は非公開、普通株式による第三者割当増資を実施した。3社の出資により、出資比率は下表のようになった(役職員向けストックオプション相当分の比率を除く)。

株主名資金調達前資金調達後
(プレシリーズA)
三菱UFJ信託銀行株式会社49.00%42.39%(▲6.61pt)
株式会社NTTデータ13.50%11.68%(▲1.82pt)
みずほ信託銀行株式会社7.50%6.49%(▲1.01pt)
三井住友信託銀行株式会社7.50%6.49%(▲1.01pt)
株式会社三井住友フィナンシャルグループ7.50%6.49%(▲1.01pt)
農中信託銀行株式会社6.49%(+6.49pt)
株式会社あおぞら銀行4.33%(+4.33pt)
SBI PTSホールディングス株式会社5.00%4.33%(▲0.67pt)
株式会社JPX総研5.00%4.33%(▲0.67pt)
株式会社Datachain5.00%4.33%(▲0.67pt)
ケネディクス株式会社2.68%(+2.68pt)

デジタルアセットの新たな可能性を探る

提携を通して3社は、それぞれWeb3/ブロックチェーンを活用した、新たなビジネス展開を探る。

農中信託銀行は、これまで機関投資家向けに提供してきた金融商品や農林水産業関連の非金融資産をデジタルアセット化することで、新たな投資商品の提供を狙う。

あおぞら銀行は、ステーブルコインに中心に、デジタルアセット事業の新たな可能性を模索する。

Progmat基盤を活用して不動産セキュリティ・トークン(デジタル証券)を発行しているケネディクスは、セキュリティ・トークンとステーブルコインの融合を見据え、新たなサービスの開発を目指す。

今回資金提供を行った3社のコメント(一部抜粋)は以下のとおり。

「農中信託銀行では従来より国内外の多様な資産を裏付とした機関投資家様向け商品組成・流動化に取り組んで参りましたが、こうしたバックグラウンドも活かしながらパートナー各社様と共にデジタルアセット市場の拡大に貢献していきます」(代表取締役社長 豊田悟氏) 

「あおぞら銀行グループとしても「新たな金融の付加価値を創造し、社会の発展に貢献する」というミッションを体現すべく、”挑み”続ける金融機関として、デジタルアセット市場の可能性を切り拓いていきたいと考えております」(常務執行役員 事業法人ビジネス本部長 篠崎純氏)

「ケネディクスは、日本における不動産セキュリティ・トークン第1号案件をProgmatと共に組成し、多くの個人投資家の皆様の支持を得て、順調に運用資産規模を拡大して参りました。本年リリース予定のモバイルアプリを開発・展開していく上でも、Progmatは重要なパートナーです」(代表取締役社長 COO 寺本光氏)

こうしたコメントを受けて、Progmatの齊藤達哉氏(代表取締役Founder&CEO)は「今回、更なるパートナーのお力とご出資をいただけることになり、設立理念である“ナショナルインフラ”を国内に留まらず世界へ展開していくべく、メンバーと共に全力で取り組んでまいります。世界的にも偉大なプロダクトを目指すために、“ベスト”といえる偉大なチームを創ります」とリリースで述べている。

国産ステーブルコインは「準備完了」

また、齊藤氏はリリース時の恒例にもなっているnoteでの発信も実施。今回の資金調達に至る経緯を自身のキャリア形成に絡めて語っている。「未来のステークホルダーの皆さまへ」という小見出しで結んだ文章は長文だが、Progmat創業の経緯、存在意義、資金調達の考え方などがよくわかる。「長くなりますが、最後にどんでん返しもありますので」との記しているサプライズも面白い。

さらに報道で伝えられた国産ステールコインについても「全ての準備は完了」と記している。

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|文:増田隆幸
|画像:リリースより