リップル、プライムブローカー「ヒドゥン・ロード」を12億5000万ドルで買収へ──機関投資家へのアプローチ強化

- リップルは、プライムブローカーのヒドゥン・ロードを12億5000万ドル(約1812億5000万円、1ドル145円換算)で買収することに合意。
- ヒドゥン・ロードが買収交渉中であると、CoinDeskは先週報じた。
リップル(Ripple)社は、マルチアセットプライムブローカーのヒドゥン・ロード(Hidden Road)を12億5000万ドル(約1812億5000万円)で買収することで合意した。これは、デジタル資産業界における過去最大のM&A案件の1つとなる。
CoinDeskは先週、ヒドゥン・ロードが買収交渉を活発に行っていたと報じた。
プレスリリースによると、ヒドゥン・ロードは300を超える機関投資家を顧客として抱えており、外国為替、デリバティブ、デジタル資産、債券市場で年間3兆ドル(約435兆円)を超える決済を行っている。ただ、取引の資金調達条件については明らかにされていない。
今回の合意は、先月、暗号資産(仮想通貨)取引所のクラーケン(Kraken)が米先物取引プラットフォームのニンジャトレーダー(NinjaTrader)を15億ドル(2175億円)で買収するという契約を結んだ直後に発表された。発表された価格が10億ドル(1450億円)を超える暗号資産関連の取引は、ごく少数だ。そのなかで、決済処理業者のストライプ(Stripe)は昨年、ステーブルコインプラットフォームのブリッジ(Bridge)を11億ドル(約1595億円)で買収する契約を締結。2021年には、暗号資産金融サービス企業のギャラクシー・デジタル(Galaxy Digital)が、カストディ専門業者のビットゴー(BitGo)を12億ドル(約1740億円)で買収することに合意したが、この契約は1年余りで破棄された。
「米国市場がようやく開放され、デジタル資産が機関投資家による採用に向けて成熟しつつある今、これは転換点だ」とリップルのCEO、ブラッド・ガーリングハウス(Brad Garlinghouse)氏は声明で述べた。
「当社は、エックス・アール・ピー(XRP)と当社の幅広いソリューションを活用して、伝統的な金融と暗号資産をより緊密に結びつけ、事業拡大を加速させている」と同氏は付け加えた。
リップルはヒドゥン・ロードに新たな資本を投入し、ヒドゥン・ロードの決済、プライムブローカレッジ、融資業務を拡大させ、世界最大の非銀行系プライムブローカーにすることを目指すと発表した。
ステーブルコイン戦略
この契約は、リップルのステーブルコインへの野心も強化する。ヒドゥン・ロードは、リップルの米ドル連動型ステーブルコイン「RLUSD」を、自社のプライムブローカープラットフォーム全体の担保として使用。これにより、RLUSDは、伝統的資産市場とデジタル資産市場間の効率的なクロスマージンを可能にする初のステーブルコインになるとリップルは述べた。
ヒドゥン・ロードはまた、ポストトレード業務をXRP Ledger(XRPL)へ移行する計画で、コスト削減と決済プロセスの合理化を目指している。リップルは、この動きにより、機関投資家向けDeFiユースケースに最適化されたブロックチェーンとしてXRPLをさらにアピールできると期待している。
ヒドゥン・ロードのシリーズBラウンドに参加し、同社のプラットフォームの顧客でもあるリップルは、規制当局の承認を待って、今後数カ月以内に取引が完了する見込みだと述べた。リップルは現在、世界で60以上の規制ライセンスを保有している。
|翻訳・編集:廣瀬優香
|画像:Unsplash
|原文:Ripple to Acquire Prime Broker Hidden Road for $1.25B, Expanding Institutional Push