関税が世界的な脅威となり、ビットコイン弱気派は7万ドルを視野に

- トランプ大統領の世界的な関税が発効し、主要な暗号資産に影響が及んだことで、ビットコインは一時7万5000ドルまで下落した。
- 米国債は売られ、30年物利回りは上昇し、潜在的な経済的緊張を示した。
- アナリストらは、短期的には慎重な姿勢を示しているが、マクロ経済状況が改善すればビットコインは回復する可能性があると見ている。
ビットコイン(BTC)は4月9日の早朝、トランプ大統領の広範囲にわたる世界的な関税が発効したことにより、一時7万5000ドル付近まで下落したが、その後やや回復した。
イーサリアム(ETH)は10%急落し、主要トークンの中で最大の損失を記録した。エックス・アール・ピー(XRP)、ドージコイン(DOGE)、バイナンスコイン(BNB)、ソラナ(SOL)、カルダノ(ADA)は5%以上下落した。市場全体の時価総額は6%減少し、7日間の下落幅は15%近くにまで拡大した。
小規模トークンはさらに大幅な下落を見せ、新興のベラチェーン(BERA)は20%減、ミームコインのボンク(BONK)、ペペコイン(PEPE)、フロキ(FLOKI)は9%以上下落した。
トレーダーたちは暗号資産(仮想通貨)の主要銘柄から撤退し続け、8日の安心感から生じた上昇分をすべて帳消しにした。トランプ大統領が世界貿易の抜本的な再編成に向けた取り組みを推進する中、中国製品に対する関税は104%に引き上げられ、60を超える貿易相手国に対する輸入税も引き上げられた。
米国債は売りを拡大し、30年物利回りは20ベーシスポイント以上上昇して4.98%となった。これは、債券投資家が享受してきた通常の安全資産としての地位からのUターンであり、トレーダーにとっては非常に憂慮すべき兆候だ。
一部の市場ウォッチャーは、売り崩しは大口投資家の強制清算が原因ではないかと推測している。
「4日の終値から現在まで、3営業日の間に30年物利回りは56ベーシスポイント上昇した」と、多くの人から支持を集めるビアンコ・リサーチ(Bianco Research)の創設者、ジム・ビアンコ(Jim Bianco)氏はXに投稿した。「利回りが3日間でこれほど上昇したのは1982年1月7日で、その時は利回りが14%だった」。
「このような歴史的な動きは、強制的な清算によって引き起こされるものであり、東部時間深夜に金利見通しを人間の運用者が決定したわけではない」と付け加えた。
Something has broken tonight in the bond market. We are seeing a disorderly liquidation.
— Jim Bianco (@biancoresearch) April 9, 2025
If I had to GUESS, the basis trade is in full unwind.
Since Friday's close to now … the 30-year yield is up 56 bps, in three trading days.
The last time this yield rose this much in 3… pic.twitter.com/IS6qog4uog
利回りの上昇は、債券価格の下落を意味し、アメリカ政府の借入コストを増加させる。これは、すでに多額の負債によって圧迫されている連邦政府の赤字をさらに悪化させる可能性がある。
投資家は、貿易戦争が長引けば、世界貿易が弱体化し、サプライチェーンが混乱し、アメリカの経済成長が鈍化するのではないかと懸念している。これは、アメリカの株式市場と、その浮き沈みを反映する傾向にあるビットコインに、さらなる圧力をかける可能性がある。
現在の売りは、市場がすでにインフレを織り込んでいることを示唆しているが、長引く不確実性はこの力学を覆す可能性がある。
弱気派が主導権を握る
一方、関税のエスカレートを背景に、ビットコインが短期的に7万ドルまで下落する可能性があると見るトレーダーもおり、そうなれば、この暗号資産にはさらなる圧力がかかることになる。
「投資家にとっては、短期的な見通しは慎重になる必要がある。貿易摩擦がエスカレートすれば、ビットコインが7万ドルから7万5000ドルまでさらに下落する可能性があるが、この下落は長期的には買いのチャンスとなる」と、ビットゲット・リサーチ(Bitget Research)のチーフアナリスト、ライアン・リー(Ryan Lee)氏は、テレグラムのメッセージでCoinDeskに語った。
「ビットコインへのドルコスト平均法による投資は、現在では賢明な動きだ。将来的には、よりリスクの高い上昇局面を狙ってソラナのようなアルトコインに目を向けるべきだ」とリー氏は述べた。リー氏は、今後数カ月の間に状況が好転すれば、最高値への回復も可能だと楽観的な見方を維持している。
「マクロ経済状況が安定化したり、暗号資産に好意的な政策が打ち出されたりすれば、2025年末までにビットコインが9万5000ドルから10万ドルに達し、時価総額が再び3兆ドルを超える可能性もある。関税圧力とリスク回避のセンチメントがアルトコインに大きな打撃を与えている一方で、ビットコインの回復力と60%に迫る支配率の上昇は、エコシステムの基礎が依然として堅固であり、機関投資家の採用や半減期のような長期的な追い風に支えられていることを示唆している」と彼は付け加えた。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin Bears Eye $70K, Ether Drops 10% as Trump Tariffs Start Global Menace