トークン化された金、時価総額約2900億円に迫る──関税への懸念がセーフヘイブントレードに火をつける

- トークン化された金は4月10日、関税の混乱の中で投資家がリスク資産から逃避する中、金現物価格とともに上昇し、その時価総額は約20億ドル(約2900億円、1ドル=145円換算)まで急増した。
- CEX.IOのレポートによると、取引活動も急増しており、パックスゴールド(PAXG)とテザーゴールド(XAUT)の週間取引高は、1月20日のトランプ米大統領就任以来、それぞれ900%と300%上昇している。
- CEX.IOのアレクサンドル・ケリヤ(Alexandr Kerya)氏は、地政学的緊張の高まりや現実資産(RWA)トークン化のトレンドの高まりの中で、トークン化された金は暗号資産(仮想通貨)ネイティブの投資家の間でセーフヘイブン(安全な避難先)として支持されていると述べている。
関税がもたらす不透明感の中、暗号資産を含むリスク資産が苦戦する一方、トークン化された金は再び大混乱の中でアウトパフォーマーとして頭角を現した。
CoinGeckoのデータによると、金を裏付けとするトークンの時価総額は4月9日、20億ドル弱に膨れ上がり、過去24時間で5.7%上昇した。
この上昇は、金が一時的に1オンスあたり3170ドルを超え、史上最高値を更新したのと同時期に起こったと、TradingViewは示している。
価格上昇と同時に、金トークンにはここ数週間、市場の混乱に煽られ、熱狂的な取引活動と需要が集まった。
デジタル資産プラットフォームCEX.IOのレポートによると、トークン化された金の週間取引高は10億ドルを超え、2023年3月の米国の銀行危機以来の高水準となった。
CoinGeckoのデータを引用した同レポートによると、トークン化された金市場の大部分を占める2大トークンであるパックスゴールド(PAXG)とテザーゴールド(XAUT)の週間取引高は1月20日以降、それぞれ900%と300%以上に急増している。
パックスゴールドはまた、この期間中に合計6300万ドルの継続的な資金流入を経験したことが、DefiLlamaのデータで示されている。
これらトークンの値上がりは、地政学的な不確実性とインフレ懸念の中で2025年に2桁の上昇率を記録した金現物の値上がりに追随するものであった。
しかし、米国の関税をきっかけとした市場全体の急落は、金でさえも免れることはできず、価格は一時6%下落したが、すぐに過去最高値まで回復した。
トランプ大統領の就任以来、トークン化された金は暗号資産の中で最もパフォーマンスの好調なセクターのひとつであり、その時価総額は21%上昇したとレポートは指摘している。
対照的に、ステーブルコインの時価総額は8%増と控えめで、ビットコイン(BTC)は19%減、暗号資産市場全体は26%減となった。

「トークン化された金は、ビットコインと並んで、暗号資産ネイティブユーザーの間で重要な分散戦略のひとつとして台頭している」と、CEX.IOの製品管理担当副社長であるアレクサンドル・ケリヤ氏は指摘し、次のように続けた。
「トークン化された金は、ポートフォリオ管理により安全で安定したアプローチを提供し、ユーザーが暗号資産エコシステム内に留まることを可能にする一方で、基礎となる現物資産の価値と安定性から恩恵を受ける」
「同時に、より広範なRWAのナラティブは、これまで金を考慮しなかったかもしれないユーザーにとって、金へのエクスポージャーをより身近で直感的なものにするのに役立つ」と、ケリヤ氏は付け加えた。
|翻訳・編集:山口晶子
|画像:Shutterstock
|原文:Tokenized Gold Nears $2B Market Cap as Tariff Fears Spark Safe Haven Trade