市場の混乱に耐えたDeFi──パニックの中、数億ドルが流入
  • DeFi(分散型金融)プロトコルのAave(アーベ)は、今週はじめ、市場が急落したにもかかわらず、TVL(預け入れ額)は過去最高の1100万イーサリアム(ETH)を記録した。
  • DEX(分散型取引所)の取引高も増加している。
  • こうした傾向は、トレーダーが価格変動リスクを抑えようとするなかで、DeFiが成熟期を迎えていることを示している。

今週はじめ、関税に端を発した市場の暴落により、暗号資産は広く下落し、ビットコイン(BTC)は一時8万ドルを割り、イーサリアム(ETH)は2年ぶりの安値となる1432ドルをつけた。DeFi(分散型金融)セクターも、TVLが2024年11月以来の低水準となる950億ドルまで落ち込んだ。

だが、DeFiにとっては、悪いニュースばかりではなかった。

暗号資産が下落するなかで、DeFiは堅調さを見せ、資金流出は限定的で、主要な利用指標はイーサリアムよりもはるかに良好な推移を示した。

最大規模のDeFiプロトコルであるAave(アーベ)のイーサリアム建てのTVL(預け入れ額)は今週上昇し、1102万イーサリアム(約173億2000万ドル、約2兆5114億円、1ドル145円換算)の過去最高を記録した。年初の300万イーサリアムから着実に増加している。

〈Aave(アーベ)のTVL:DefiLlama〉

こうした傾向は、最近の強気相場がミームコインに焦点を当てていた一方で、DeFiの実世界でのユースケースがまだ、きわめて活発であることを示している。過去のサイクルでは、中央集権型取引所の影響力の大きさと、流動性不足から、DeFiは苦境に立たされていたが、今はトレーダーが価格変動リスクを抑えようとするなかで、資金が流入しており、DeFiの長期的な健全性に不可欠な流動性が増加している。

市場が弱気相場に近づくなか、DeFiは暗号資産市場を支える柱のひとつとなる可能性が高い。

今週、資金流入したのはAaveだけではない。Sky(旧MakerDAO)のTVLは185万ETHから463万ETHに増加した。DefiLlamaによると、レンディングプロトコルのSparkも今月初めにTVLが100万ETH増加した。

市場が下落するなかでDeFiに資金が流入しているのは、トレーダーがリスクを回避しようとしているためだ。

また、DEX(分散型取引所)の取引高も堅調で、先週は1日あたり70億ドルを超えることはなかったが、7日に118億ドル、8日は半日で98億ドルに達した。

|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:Mark Basarab/Unsplash
|原文:How DeFi ‘Defied’ Market Carnage as Traders Poured Millions Amid Panic