約2億5000万カナダドル(約210億円)相当の顧客資産にアクセスができず、裁判所に債権者保護を申請する事態に追いやられた仮想通貨取引所、クアドリガCX(QuadrigaCX)を巡る問題で、同社がその一部を不注意でアクセス不能のウォレットに移動していたことが分かった。
カナダのクアドリガCXは2019年1月末、債権者保護の手続きを裁判所に申請。裁判所は申請を受理し、その後取引所の管理者として会計監査・コンサル企業のEYを指名した。EYは2月12日に初の報告書をまとめたが、その中で、クアドリガCXが103ビットコイン(約46万8675カナダドル=約3921万円)をアクセスができないコールドウォレットに移動したと述べている。
報告書から抜粋:
2019年2月6日、Quadrigaは不注意に103ビットコインを、同社が現在アクセスすることができないコールドウォレットに移動した。管理者(EY)は現在、経営陣と共同で、コールドウォレットから仮想通貨の回収が可能かを究明している。
クアドリガCXはこれまでに、インドで死亡した最高経営責任者(CEO)のジェラルド・コットン(Gerald Cotten)氏のみが取引所が有する資産へのアクセスキーを知っていると報告。そのため、同取引所はコールドウォレットにアクセスすることができないとしている。
報告書によると、EYは同取引所のホットウォレットに残る資産を、同社が所有するコールドウォレットに移動すると述べている。ホットウォレットに残る資産の内訳は、51ビットコインと0.014ビットコインキャッシュSV、33ビットコインキャッシュ、2000ビットコインゴールド、800ライトコイン、950イーサ。
没収されたラップトップ、携帯電話
EYは現在までに、死亡したコットン氏が使用していたとされる4台のノートパソコンと4台の携帯電話、3本のUSBを管理しているという(報告書)。これらの電子機器は、EYが賃借している金庫で保管しており、科学捜査グループが機器へのアクセス方法を導き出す方針だ。
また、EYは決済処理を行う第三者組織と共同で、取引所が管理している法定通貨の残高へのアクセスを試みているが、依然、進展は見られていない。
クアドリガCXは、これまで提出された報告書の中で、仮想通貨における顧客の資産は1億8000万カナダドル(約150億円)と開示していたが、コールドウォレットとホットウォレットにどれほどの資産が管理されていたかは、明らかにしていなかった。
2月12日付の報告書には、クアドリガCXがホットウォレットで管理していた資産は、90万2743カナダドル(約7571万円)と記されている。これを基に試算すると、コールドウォレットには1億7900万カナダドル(約150億円)が残されていることになる。
翻訳:CoinDesk Japan編集部
編集:佐藤茂、浦上早苗
写真:Frozen bitcoin image via Shutterstock
原文:QuadrigaCX Lost Another $500K in Bitcoin By Mistake: EY Report