JPモルガン、ブロックチェーン決済サービス「Kinexys」に英ポンド対応を追加

- JPモルガンのKinexysネットワークは、ブロックチェーンベースの決済システムに英ポンド口座を追加。
- この拡大は、米ドル建てステーブルコインの優位性によって生じた隙間を埋めることを目的としている。
- Kinexysの1日あたりの取引額は平均20億ドル(約2860億円、1ドル143円換算)で、ロンドン証券取引所グループ傘下のSwapAgentやTrafiguraなどの顧客が同ネットワークに参加している。
JPモルガン(JPMorgan)は、ブロックチェーンベースの決済ネットワーク「キネクシス(Kinexys)」に英ポンド建て口座のサポートを追加した。これは、ステーブルコイン市場が米ドルに極端に依存していることによるギャップを解消するためだ。
2019年にJPMコイン(JPM Coin)という名前でローンチされたKinexysは、法人顧客がJPモルガンの口座間で資金を移動させ、いつでも外国為替取引を決済することを可能にする。
ポンドの追加は、サービスが拡大してユーロ取引に対応してから1年も経たないうちに行われた。ブルームバーグ(Bloomberg)が報じたところによると、同ネットワークを運営するプラットフォーム「オニキス(Onyx)」のグローバル共同責任者、ナビーン・マレラ(Naveen Mallela)氏は、Kinexysの取引量の80%は依然としてドル建てだが、ポンド送金の需要は高まっていると述べた。
この動きは、2300億ドル(約32兆8900億円)規模のステーブルコイン市場における長年の問題に対処するものだ。この市場では、ほぼすべてのトークンがドルに連動している。これにより、他の通貨での迅速かつ低コストの決済を必要とする企業にとっては選択肢が制限され、ソシエテ・ジェネラル(Societe Generale)をはじめとする大手金融機関が法定通貨に裏付けられたステーブルコインを発行するようになった。
拡大されたポンド決済サービスの初期参加者には、ロンドン証券取引所グループ(LSEG)傘下のポストトレード企業SwapAgentや、世界最大規模のコモディティ取引企業Trafiguraが含まれる。
Kinexysネットワークは現在、1日あたり20億ドル(約2860億円)を超える取引を処理しているが、これはJPモルガンが決済事業全体で処理する1日あたり10兆ドル(約1430億円)という取引量と比べると、依然としてごく一部であるとレポートは付け加えた。
|翻訳・編集:廣瀬優香
|画像:
|原文:JPMorgan Adds GBP Support to Its Blockchain Payments Service Kinexys