SEC、インカインド償還とイーサリアムETFステーキングに関する判断を延期

- SECはヴァンエクやウィズダムツリーの暗号資産ETFのインカインド償還について決定を先送りした。
- また、グレイスケールが自社のイーサリアム・トラストにステーキングを導入する計画についての判断も延期した。
- 他の市場ではこれらの機能が認められているが、SECは独自のペースで対応している。
現物暗号資産(仮想通貨)ETF(上場投資信託)発行元が自社商品に付け加えることを求めている2つの重要な機能について、米証券取引委員会(SEC)はまだ判断を下す準備ができていない。
SECは14日、ウィズダムツリー(WisdomTree)のビットコイン・ファンド(BTCW)およびヴァンエク(VanEck)のビットコイン・ファンド(BITB)とイーサリアム・ファンド(ETHW)のインカインド償還を許可するかどうかについての決定を延期した。また、グレイスケール(Grayscale)がイーサリアム・トラスト(ETHE)とミニ・イーサリアム・トラスト(ETH)にステーキングを導入するとの提案についても判断の期限を延長した。この提案は、グレイスケールが上場先としているニューヨーク証券取引所アーカ(NYSE Arca)が2月に申請したものだ。
フィデリティ(Fidelity)、フランクリン・テンプルトン(Franklin Templeton)、ヴァンエク(VanEck)、インベスコ/ギャラクシー(Invesco/Galaxy)など他の5つのイーサリアムETF発行元と提携しているシカゴ・オプション取引所(COBE)は3月、フィデリティ・イーサリアム・ファンド(FETH)とフランクリン・イーサリアムETF(EZET)の修正版申請書を提出した。
SECはこれまで現物イーサリアムETFにおけるステーキングを認めてこなかった。しかし、先週上院で承認された新SEC委員長ポール・アトキンス(Paul Atkins)氏の任命により、状況が急速に変化する可能性がある。
香港、カナダ、ヨーロッパなど他のいくつかの法域では、すでにETFでのステーキングが認められているが、このことがSECに大きな圧力を与えているわけではないと専門家は指摘している。
ブルームバーグ・インテリジェンス(Bloomberg Intelligence)のETFアナリスト、ジェームズ・セイファート(James Seyffart)氏は、「SECは自分たちのペースで行い、彼らが望むだけ早く、または遅く進むだろう」と指摘。「私の経験では、彼らは他の規制当局が何をしているかは気にしない。学ぶことはあるかもしれないが、私が考えるに、他の規制当局が何かを承認したからといってSECが無理をして取り組んだり追いつこうとしたりすることはない」と説明した。
SECが判断を下す期限は現在、ヴァンエクとウィズダムツリーのインカインド償還に関しては6月3日、グレイスケールのステーキング提案については6月1日となっている。
|翻訳・編集:林理南
|画像:ポール・アトキンス氏(上院銀行委員会)
|原文:SEC Delays Decisions on In-Kind Redemptions, Ether ETF Staking