30年物日本国債の利回りが2004年以来の高水準に──投資家の懸念が高まる
  • 30年物の日本国債の利回りが2004年以来の高水準に急騰し、投資家の懸念が高まっている。
  • これは、日本のファンドが海外投資を本国に還流させるインセンティブとなり、ビットコインを含む金融市場でリスク回避の動きが再び強まる可能性がある。

金融市場での取引は、次々と飛んでくる石を避けるようなもので、それぞれに絶え間ない警戒と機敏な対応が求められる。先週のトランプ関税に端を発したパニックが落ち着き、ビットコイン(BTC)や伝統的なリスク資産が安定した矢先、日本の債券市場に不安定な動きが現れ、この状況に水を差している。

TradingViewによると、30年物日本国債の利回りは15日の早朝に2.88%まで上昇し、2004年以来の高値を記録した。1週間で60ベーシスポイント近く上昇したことになる。

投資家が5年債よりも超長期債を保有することに求めるプレミアムを表す30年債と5年債の利回りの差は、ほぼ20年ぶりの高水準に拡大している。10年債の利回りは1週間で約30ベーシスポイント上昇し、1.37%となったが、最近の最高値である1.59%を大きく下回っている。

超長期国債のこうした動きは投資家の間で警戒感を呼んでいる。日本は長年にわたり国際的な債権国であり、米国債の最大の保有国でもあるため、当然のことと言えるだろう。1月の時点で日本の米国債保有高は1兆790億ドル(約156兆4550億円、1ドル=145円換算)だ。さらに、日本はほぼ20年にわたり、特に先進国市場において、債券利回りの安定化要因となっており、金融市場におけるリスクテイクの増加を支えてきた。

そのため、超長期日本国債の高利回りの傾向は、日本のファンドが海外の債券保有や円建てリスクオンキャリートレードを売却し、資本を本国に戻すインセンティブとなる可能性がある。その結果、米国債市場のボラティリティが上昇し、円高が進むことで、リスク回避傾向が強まる可能性がある。

「日本は世界最大の国際投資ポジションを保有しており、さまざまな市場に多額の資金を投入している。もしその資金が日本に還流し始めたら、明らかにマイナスとなるだろう」と、BCAリサーチ(BCA Research)のグローバル資産配分担当チーフストラテジストであるギャリー・エバンス(Garry Evans)氏は14日、CNBCのインタビューで語った。

ビットコインも、昨年8月に最初の円キャリー取引の解消が起こった時のように、圧力を受ける可能性がある。

BTCは、新興技術から避難先、価値の貯蔵庫に至るまで、さまざまな魅力を持つ資産だ。先週、トランプ政権と中国との関税戦争の激化が幅広いリスク回避につながり、その主張は強まった。しかし、BTCはナスダックやS&P 500よりも下落幅が少なかった。

この相対的な回復力は、一部ではベータ値が低いことによるもの、また一部ではヘッジ手段であることによるものとして、暗号資産(仮想通貨)の進化の兆しとして歓迎されている。一方で、暗号資産が2月初旬から下落傾向にあるという事実は無視されている。これは、先週の米国株式市場の急落を引き起こした貿易戦争の影響を反映している可能性が高い。

だから、警戒を怠らないようにしよう。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Japanese Bonds Stir Unease as Bitcoin Recovers From Last Week’s Tariff Panic