ステーブルコイン市場、2028年末までに約290兆円規模に成長の可能性:スタンダードチャータード

- 米国でジーニアス法が可決されれば、ステーブルコインの供給量が急増する可能性があると、スタンダードチャータード銀行は報告書の中で述べた。
- 同報告書によると、ステーブルコイン市場は、現在の2300億ドル(約33兆円、1ドル=143円換算)から2028年末までに2兆ドルに成長する可能性があるという。
- スタンダードチャータードは、ステーブルコインの供給増加は米国債の購入とドルの覇権に影響を与えると指摘した。
「米国ステーブルコインのための国家イノベーションのガイドと確立(Guiding and Establishing National Innovation for U.S. Stablecoins:ジーニアス)法」は、今後数カ月のうちに米国で可決される見込みであり、それがステーブルコインの供給量がほぼ10倍に急増する引き金になる可能性があると、スタンダードチャータード銀行は4月15日発表の調査報告書で述べた。
ジェフ・ケンドリック(Geoff Kendrick)氏率いるアナリストらは、米国の法律は、「ステーブルコイン業界にさらに正当性を与えるだろう」とし、「これにより、ステーブルコインの総供給高は現在の2300億ドルから、2028年末までに2兆ドルに増加すると推定している」と付け加えた。
ステーブルコインとは、価値が米ドルや金などの他の資産と結びついている暗号資産(仮想通貨)である。暗号資産市場で大きな役割を果たしており、国際的な送金にも利用されている。
スタンダードチャータードは、3月に上院銀行委員会で承認されたこの法案は、議会で可決された後、今年の半ば頃にドナルド・トランプ大統領によって署名される可能性が高いと述べた。
ステーブルコインの供給増加は、米国債の買い入れと米ドルの覇権に影響を与える、と報告書は述べている。
スタンダードチャータードの試算では、同行が予測するステーブルコインの供給増加によって、今後4年間で1兆6000億ドルの国庫短期証券を追加購入する必要がある。
「これは、トランプ大統領の2期目の残りの期間に発行が予定されている新規の財務省短期証券すべてを吸収するのに十分である」と、スタンダードチャータードは指摘している。
ドル連動型ステーブルコインの準備に対する需要が増加すれば、米ドルに対する追加的な需要が生じ、これがドルの覇権を支えることになる、とスタンダードチャータードは述べている。
スタンダードチャータードによると、業界は時価総額で第2位のステーブルコイン、USDコイン(USDC)を発行するサークル(Circle)社が採用しているモデルに移行すると予想される。サークル社は準備金の88%を、平均償還期間12日の財務省短期証券で保有している。
最大のステーブルコイン発行者であるテザー(Tether)社は、USDT準備金の66%を財務省短期証券で保有している。
|翻訳・編集:山口晶子
|画像:Shutterstock
|原文:Stablecoin Market Could Grow to $2T by End-2028: Standard Chartered