バイナンスのジーキャッシュ上場廃止検討、業界有力者が失望を表明
  • バイナンスは、上場廃止する暗号資産をユーザー投票で決定する方針を示し、その候補の一つにジーキャッシュが含まれている。
  • ジーキャッシュの価格は過去24時間で3.1%下落した。
  • 複数の暗号資産業界の創設者がバイナンスの決定に失望を表明した。

暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)は、上場廃止の投票対象となる暗号資産にプライバシートークンであるジーキャッシュ(ZEC)を含めたことをめぐり、今週批判を受けている。

時価総額5億ドル(約725億円、1ドル145円換算)を有するジーキャッシュは、破綻した暗号資産取引所FTXのFTTトークンやデータセキュリティプラットフォームのジャスミー(JASMY)とともに投票候補に挙げられている。

ジーキャッシュの創設者であるズーコ・ウィルコックス(Zooko Wilcox)氏は15日、X(旧Twitter)でバイナンスのリチャード・テン(Richard Teng)CEOにメンションし、「ジーキャッシュの上場廃止を検討しているのか!?どのような世界を作ろうとしているのか?あなたは自分の子どもたちに平和と繁栄の中で育ってほしいのか、それともブラックミラーのような世界で育ってほしいのか?」と述べた。

デジタル・カレンシー・グループ(Digital Currency Group)の創設者バリー・シルバート(Barry Silbert)氏も、バイナンスがジーキャッシュをリストに含めたことを嘆く投稿を複数回リポストした。

レジャー(Ledger)最高技術責任者(CTO)のシャルル・ギユメ(Charles Guillemet)氏やコスモス(Cosmos)共同創設者イーサン・ブックマン(Ethan Buchman)氏も同様の考えで、両者はプライバシーの重要性を強調した。

バイナンス側の立場で見れば、プライバシートークンは長らく金融規制当局の議論の的となってきた。2022年にリークされた欧州連合(EU)の文書では、プライバシートークンが域内で禁止される可能性が示唆された。

また、プライバシープロトコルのトルネードキャッシュ(Tornado Cash)は、犯罪利用への懸念からアメリカで制裁対象となった。なお、先月この制裁は解除された。

ジーキャッシュは本記事執筆時点で31.26ドル(約4530円)で取引されており、過去24時間で3.1%下落している。

|翻訳・編集:林理南
|画像:Nghia Do Thanh/Unsplash
|原文:Binance’s Potential Zcash Delisting Met With Dismay From Industry Heavyweights