セキュリタイズ、デジタル資産ファンド管理で最大手に──MGストーバーの事業買収で

- セキュリタイズはMGストーバーのファンド管理事業を買収し、デジタル資産に特化したファンド管理企業として最大手となった。
- 今回の買収により、セキュリタイズの子会社であるセキュリタイズ・ファンド・サービスは、ブラックロックのトークン化米国債ファンドを含む715のファンドで380億ドル(約5兆4300億円、1ドル143円換算)の資産を管理することになる。
- 今回の取引は、急成長するデジタル資産トークン化分野において、包括的なサービスを提供するための統合が進んでいることを強調している。
トークン化資産発行企業の最大手の1つであるセキュリタイズ(Securitize)は15日、MGストーバー(MG Stover)のファンド管理事業を買収したと発表。これにより、セキュリタイズの子会社であるセキュリタイズ・ファンド・サービス(Securitize Fund Services:SFS)は世界最大のデジタル資産ファンド管理企業となる。
MGストーバーのチームは今後、SFSのもとで業務を行い、SFSの機関投資家向けサービスを強化するとプレスリリースで発表された。
今回の買収により、SFSは715のファンドで380億ドル(約5兆4300億円)の資産を管理することになる。これには、ブラックロック(BlackRock)の24億5000万ドル(約3500億円)のトークン化米国債ファンド(BUIDL)など、セキュリタイズのトークン化ファンドも含まれる。セキュリタイズは現在、ファンド管理、トークン発行、ブローカー業務、名義書換代理業務、代替取引システム(ATS)などの統合された一連のサービスを提供している。
今回の取引は、デジタル資産インフラ分野における統合の進展を示唆している。この分野では企業が、従来の金融システムを反映しながらもブロックチェーン上で稼働する、基準に準拠したプラットフォームの構築を競い合っている。資産運用会社にとっては、エコシステムを離れることなく、トークン化された証券を発行、管理、取引できることを意味する。
セキュリタイズの共同創設者兼CEOであるカルロス・ドミンゴ(Carlos Domingo)氏は、今回の買収により「機関投資家向けの現実資産(RWA)のトークン化とファンド管理のための最も包括的なプラットフォームとしての当社の役割が、確固たるものになる」と述べた。
世界の伝統的金融企業や銀行が、ファンド、債券、クレジットなどの金融商品の移動や管理にブロックチェーンを利用することが増えているため、資産のトークン化はおそらく最も急速に成長しているデジタル資産分野だ。ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)とリップル(Ripple)社は、トークン化された資産市場が2033年までに18兆ドル(約2600億円)に達すると予測した。だが、ムーディーズ(Moody’s)のレポートによると、急速な成長には、運用経験の不足などのリスクも伴う。
|翻訳・編集:廣瀬優香
|画像:セキュリタイズCEOのカルロス・ドミンゴ氏(セキュリタイズ)
|原文:Securitize Acquires MG Stover’s Unit to Become Largest Digital Asset Fund Administrator