ビットコインと上位50トークンが弱気相場入り、「暗号資産の冬」の兆候:コインベース

- コインベース・インスティテューショナルによると、暗号資産市場は弱気相場に入り、大幅な損失と停滞が予想される。
- ビットコインが200日単純移動平均を下回ったことは、暗号資産の冬が到来することを示唆している。
- 弱気相場のための従来の指標は、暗号資産分野における投資家の心理と市場構造の変化を十分に捉えられない可能性がある。
暗号資産(仮想通貨)の強気相場は終わり、市場は長期的な損失と停滞を特徴とする「冬」に突入する可能性が高いとコインベース(Coinbase)の機関投資家部門は述べている。
「ビットコイン(BTC)の200日先行移動平均線(DMA)モデルは、最近の急激な下落が2024年3月末から始まった弱気相場サイクルであることを示唆している。しかし、時価総額上位50トークンで構成されたCOIN50指数で同様の分析を行うと、資産クラス全体が2月末以降、明確に弱気相場圏で取引されていることが分かる」と、コインベース・インスティテューショナル(Coinbase Institutional)のグローバルリサーチ責任者であるデビッド・ドゥオン(David Duong)氏は4月14日に共有したメモで述べた。
ビットコインは3月9日に200日単純移動平均(SMA)を下回り、それ以降は同水準を下回ったまま推移しており、長期的な弱気への転換を示している。200日SMAは長期トレンドを測る指標として広く利用されており、これを上回る動きが続けば強気相場、下回れば弱気相場とされる。
ドゥオン氏は、暗号資産市場では20%以上の調整が日常的であるため、弱気相場を特定する難しさに言及した。これに対し、株式市場では通常20%の下落が弱気相場の定義として用いられる。
メモでは、恣意的な20%という数値は、より小規模で激しい売りによって引き起こされる投資家心理の低迷やポートフォリオ調整を考慮していないことが多いと主張している。
「過去の事例を見ると、投資家心理に左右された下落は、恣意的な20%という基準に達していないにもかかわらず、防御的なポートフォリオ調整を引き起こすことが多い。つまり、我々は、弱気相場とは、下落率というよりも、ファンダメンタルズの悪化や流動性の縮小といった市場構造の体制転換を意味するものであると考えている」とドゥオン氏は述べている。
ドゥオン氏は、200日SMAに加えて、過去365日間の平均パフォーマンスに対する標準偏差(zスコア)で測定したビットコインのリスク調整後パフォーマンスも、暗号資産の弱気相場を特定する有効な手法だと強調した。
「我々のzスコアモデルは、直近の強気相場は2月下旬に終了したことを示している。しかし、それ以降のすべての動きは『中立』と分類されており、市場環境が急速に変化する際には遅れが生じる可能性を示唆している」とドゥオン氏は述べ、当面はリスク資産に対して防御的な姿勢を取るように呼びかけた。
今後やってくる「暗号資産の冬」は、ベンチャーキャピタル(VC)からの資金調達が減速していることを考えると、特にアルトコインにとっては厳しいものになるかもしれない。
BTCは年初に2021年の最高値7万ドルを大きく上回る最高値を更新したが、この強気相場はベンチャーキャピタル(VC)分野でのリスクテイクを促すには至らず、全体的な資金調達額は2021年から2022年の水準を50~60%下回った。
ドゥオン氏は、暗号資産市場は「2025年第2四半期の中盤から後半に底を打ち、より良い第3四半期を迎える可能性がある」と述べた。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Crypto Winter Appears to Have Arrived With Bitcoin, Top 50 Tokens Falling Into Bear Market Territory: Coinbase Institutional