コインベースの収益と取引高見通し、関税による緊張で打撃: オッペンハイマー

- 投資銀行のオッペンハイマー(Oppenheimer)は、コインベース(Coinbase)の2025年の取引高予想を1兆6000億ドル(約229兆円、1ドル=143円換算)から1兆3000億ドルに引き下げた。
- アナリストらは、二転三転するトランプ大統領の関税政策に起因する景気後退懸念を、リテール取引減少の主な要因として挙げている。
- コインベースの市場シェアは、米国の暗号資産(仮想通貨)スポット取引の69%まで拡大しているが、マクロ経済の不確実性が将来の成長に影を投げかけている。
二転三転するトランプ関税の脅威によってもたらされた不確実性が、リテール暗号資産取引活動に影を落としているため、暗号資産取引所のコインベースは見通しの悪化に直面していると、投資銀行オッペンハイマーのアナリストらはレポートで指摘している。
オッペンハイマーは、リスク選好度の低下に伴い、コインベースの通年の取引高予測を19%減の1兆3000億ドルに、第1四半期の予測を前期比13%減の3800億ドルに引き下げた。
ホワイトハウス、議会、規制当局からの親暗号資産的姿勢など、米政界の全体的により好意的なトーンにもかかわらず、アナリストらは、市場は完全にそのようなシフトを受け入れていないと述べた。
「選挙以来、私たちは最も親暗号資産的な大統領、政権、議会、規制当局、大統領令、SEC(米証券取引委員会)の声明を目の当たりにしてきた。これらは、米国がブロックチェーンビジネスに対してオープンであり、資本、プロジェクト、人材を誘致できることを世界に示すためのものである」と、アナリストのオーウェン・ラウ(Owen Lau)氏は指摘し、次のように続けた。
「一般市民がこのような180度の転換を信じるようになる過程で、二転三転するトランプ関税が、弱気市場の懸念、景気後退の懸念、リテール取引の後退を引き起こしているのは残念なことだ」。
コインベースの株価は今年30%下落し、ビットコイン(BTC)とS&P500(それぞれ10%、8%下落)をアンダーパフォームしている。この数字は、コインベース株が86%下落した2022年の低迷からは改善されたとはいえ、同プラットフォームがより広範なマクロシグナルに敏感であることを浮き彫りにしている。
オッペンハイマーはまた、政策が不透明な間は、リテール投資家の参加は低調に推移する可能性があるとして、2025年と2026年の売上と利益の予測も下方修正し、目標株価を388ドルから279ドルに引き下げた。オッペンハイマーによる格付けが「アウトパフォーム」であるコインベース株の16日の価格は、1.2%下落の173.39ドルだった。
コインベースの強みとしては、市場シェアが挙げられる。コインベースは2月、米国の暗号資産スポット取引量の69%を占め、ロビンフッド(Robinhood)のようなライバルに差をつけた。このリードを維持できるかどうかは、市場が関税による混乱を振り払い、勢いを取り戻せるかどうかにかかっている。
オッペンハイマーは、短期的なハードルにもかかわらず、コインベースの長期的な可能性を楽観視していると述べた。
「トークン化のオプションと決済のユースケースを持つ焦点を絞った暗号資産界のリーダーとして、コインベース株は高い価格を獲得できると考えている。関税の緊張が緩和されれば、コインベース株は強力なリバウンド銘柄になる」と、ラウ氏は述べている。
|翻訳・編集:山口晶子
|画像:Camilo Concha / Shutterstock.com
|原文:Coinbase Revenue, Trading Outlook Hit by Tariff Tensions: Oppenheimer